万祝と赤灯えれじい

万祝 11 (11) (ヤングマガジンコミックス)■望月峯太郎『万祝』10巻11巻
 2冊同時発売で完結。と思ったら11巻、薄!
 現代で海賊で冒険って、設定がムチャなんだけど、逃げはナシで正面から青年誌のマンガとして成り立つとこまで持ってたのが凄い。少年マンガは読めなくなっちゃったおっさんでも、マンガらしいムチャさを楽しめた。パンティー丸見えも良かった。
 俺的には10巻の真ん中、111話の辺で余韻を残しつつ爽やかに終わってほしかった気もする。あとの部分は説明的って言うか。そんで111話で終わるのと、119話で終わるのとでは、落ちる場所が違う。作者の落としどころはどっちにしても同じかもしれんが、読んでる側としては119話の方が遠くに落ちる。遠い方が潔くてこのマンガらしい。でも俺は111話で近いとこに落としてほしかった。
 
赤灯えれじい 14 (14) (ヤングマガジンコミックス)きらたかし『赤灯えれじい』14巻
 一方こっちは、ハリウッド映画的なスペクタクルはない。でも話は凄く豊饒に感じる。
 タイトルの由来になった交通整理の現場がリアルなのはともかく、風俗誌編集部とか、町工場とか、ここまでリアルじゃなくてもいいように思う。けど、そこら辺の妙なリアルさが生活のリアルさとか、キャラのリアルさに繋がってる。こんな風なディティールの突っ込み方したマンガって、案外少ないんじゃないか。
 スケールのデカい話は細部を吹っ飛ばす。心情を掘り起こす話は自意識過剰に繋がる。作者の主張を抑えて、現実的な小さい世界の描写を重ねて、いい話、現実にありそうでない話を現実的に織るってマンガを俺は他に読んでない。
 次で完結ってことで、予想以上に青臭い展開になってますけども、ラストを楽しみにしてます。

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