宇宙(そら)って自由ですか?

 少女に仮託する話が嫌いで、とりわけガールズバンドものなんか見る前にダメなんだけど、ジークアクスは少女が主人公だ。
 少女が主人公になりがちなのは男が体制側だからという面もある。倒すべき体制がはっきりしていたときは反体制の男がありえたが、敵が曖昧になってしまった今、男はそれだけで体制側であり、若さゆえの反体制は少女にしかできない。昔t.A.T.u.が『時速200キロで逆走』ってタイトルのアルバムを出したが、これを男が言うとバカみたいだ。
 だからってやっぱり少女に仮託するのはイヤだ。t.A.T.u.は女性を売り物にしてたからガールズバンド嫌いの俺でも固くできたが、その辺オブラートに包まれるとかえって気持ち悪い。
 ジークアクスも引っ掛かりつつ見たが、主人公が男だとするとどうにも意味がたくさん付いてまわる。少年の段階であらかじめ何やら背負わされて自由を希求できない。「宇宙って自由ですか?」ってセリフがある。これ、もう男には言えない。当たり前の話だが主人公はマチュでないと回らない。
 と、納得してしまうと楽しい。今まで言ってたことはなんだったんだってくらい、メカと少女の組み合わせはうれしい。
 エヴァは大好きだけど重い。あれは基本的に男の話だった。エヴァくらいのクオリティーで、軽いジークアクスは音楽を聴くように何度も楽しめてしまう。

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