・ピンクがあれば、女性にも売れるだろ?
■たまたま目にしたのだが。突っ込みどころの多い話で、これ自体はわりとどうでもいいんだけど、関連して思うところを。
’80年代なかばに、知り合いの女性が「昔は女性向けといえば、花柄付けときゃ売れるだろうみたいな酷いのが多かったが、最近は本当にいいのが出てきた」とか言ってた。’80年代は「女性の感性」という言葉をよく聞いた。男にとって新しい価値観だった。機械モノなんか「男は黙ってても買うから女性をターゲットにする。女が買えば男も買う」とか言ってた。新しい売り方を見付けたというか、新しい市場を見付けたというか。女性の方がセンスがいいという前提でもある。実際、デザインの底上げがされたかもしれん。
’91年にオリンパスμが出た。それまでXA2を使っていて、このAF版が出たら買おうと思ってたんで、すぐ買った。μはくねっと「女性的な」曲線を使っていて、ボタン類も丸みを帯びた銀メッキ。なかなか斬新で面白かった。
以降、オリンパスは曲線と銀メッキを多用するようになるが、どうにも安っぽかった。フィルムのμで良かったのは初代機だけ。センスのいい女性はこれで満足するのか? これって新たな花柄じゃないのか?
そういう意味で“ピンク=安易な女性向け”はやめれ、には同意できる。女性専用車のピンク表示も疑問だったし。
オリンパスはXA2の頃からマッチョさのない、上品な広告展開をしていた。米谷氏の話ではペンの時点でもう女性ユーザーを意識していたという。
今は金属ボディーが普通になったんで、そうそうくねくねできないが、オリンパスのデジカメはやたらキラキラしてる。広告もこんなで女性向けがデフォルト。
そんで女性限定のセミナーやったりしてる。売る側の理屈ははっきりしてるんだけど、写真教室で「女性向け」って、いいのかなあ。片っぽでジェンフリとか言ってんのに、女性の方から壁作って外れていくような。あらゆる場をナンパの場にする男もいるらしいから、そういうのから逃れられるのはメリットだろうけど、高校の写真部は女ばっかりって話も聞くし。
最初のリンク先の記事に戻ると、「女心の琴線に触れるケータイはなぜこんなにも少ないのか」っていう前提だけど、男から見ても琴線に触れる携帯は少ないんで。単純に全体にデザイン悪いってだけの話。この記事、アンケートとプロフィールまで含めて“女性”を検索すると26箇所もあんのね。確かにピンクの携帯は女向けに出してるんだろうから、女の側から「それじゃダメだよ」と言うのはおかしくない。けども、売り手の目が女に向いてるからって、女の側が女振りかざすってのは、女にとっていいことなんすかね。
今日たまたま、タイガー魔法瓶の新製品をチェックしてた。これ。160グラムと軽く、複雑になりがちなフタのパーツがふたつしかない。そんで見事に黒・シルバー・ピンクのラインナップ。ファッションイベントとタイアップしたサイトが思いっきりピンクで。イベント特有のバイアスはかかってるにしろ、カラーバリエーションの投票では、圧倒的にピンクが人気で。これ、ピンクは所属を示してるんでしょ。「私たちはピンク」的な。ピンクじゃない人たちの隔離。26回出てくる“女性”も、機能的にはピンクでしょう。ピンクに塗った文章。