オリンパス OM-D E-M1 Mark II

 買うてしまいましたがな。Mark III発売で底値になってて、購入時10万4999円。当然ボディーのみ。コロナ給付金を使い込む感じで。
 今まで使ってた無印E-M1には持病がふたつあって、ひとつは後ダイヤルが空回りすること。ふたつめはストラップ取り付け金具が外れること。このうち、ひとつめの症状がウチにも出た。
 オリンパスにはカメラ事業撤退の噂がある。撤退するとサポートもそれなりになるだろう。持病を持ったカメラを使い続けるのは不安だ。進歩の早いデジカメの世界で7年前のモデルでもある。
 そんな先行き不透明なシステムは捨てて別のメーカーのシステムに乗り換えればいいのだが、たった2本とはいえ20万円分のレンズを買っちゃってるし、フィルム時代からオリンパス好きだし、実際オリンパスは使い勝手いいと思うんですよ。カメラ事業辞めてほしくないんで、いくらかお金入れるつもりで。ならMark III買うべきなんだろうけど、貧乏で無理なんで、その辺は収入しっかりある人に頑張ってもらって。

オリンパスOM-4Ti Black

OM-4TiB
 このサイトでは、コニカTC-XフジカST801について書いた記事に定期的にアクセスがあるのだけど、私がメインで使っていたフィルムカメラは、オリンパスOM-4チタンブラックだ。このカメラが究極のMFカメラだと思っている。その素晴らしさについて書いてみたい。ある程度カメラの知識がないとわかんない話でもあり、オリンパスマニアの独り言でもあるので、多分に通じにくいとは思うが。
 今はデジタルのOM-D E-M1を使っていて、フィルムカメラは全部処分してしまったので、画像はカタログに頼ることになる。

 MFカメラのおもしろみは、まずピントを自分で合わせること。
 もうひとつは露出を自分で合わせること。OM-4はマニュアル露出ではなく、絞り優先AE機だが、「出た目」(露出計の指示どおりの露出)で撮るのなら、マニュアルは単に出た目に合わせてダイアルを自分で回すだけのことで、AEはその手間を省いてくれる便利な機能だ。どちらも大差ない。

 OM-4が発売された’83年、マルチパターン測光を採用したニコンFAが出ている。以後、各社これに習い多分割測光を採用していく。「マルチパターン測光」はニコンの呼び名で、「評価測光」がキヤノン。なんにしても、撮影画面をいくつかの領域に分割して測光し、その結果を「評価」して露出を決める。ニコンFAでは5分割に過ぎなかったが、今では何百もの領域に分割して測光。その結果を評価する。アルゴリズムも進歩している。おかげで今では「出た目」で撮っても大した問題がない状態になった。
 フォーカスはオートで、露出もオートで。明暗の具合だけは好みなので露出補正をかけて。ミラーレスカメラなら、露出補正のかかり具合もファインダーで確認できる。OM-Dでの撮影はそんな感じで非常に楽に行っている。

 と、これは今の話。’80年代に話を戻す。ニコンFAは5分割測光だった。当然十分ではない。OM-4は多分割測光を採用せず、代わりにマルチスポット測光を搭載した。最大8点までのスポット測光の結果を加重平均して露出を決める。
 マルチスポット測光には定番の悪口がある。8点も測光したら平均測光と変わらなくなるなど。いや、誰も毎度毎度8点測光しろと言っていない。必要なときに必要な回数測光すればいい。例えば、主となる被写体に2点、ここも重要というところに1点、そういう使い方でいい。

 マルチスポット測光の優れているのはメーター表示だ。上はカタログから、ファインダーを覗いた状態の画像。1点スポットしたものだ。OM-4は絞り優先AEなので、メーターにはシャッタースピードが表示されている。この画像の場合、設定した絞り値で顔の部分が適正露出になるシャッタースピードは1/125秒ということになる。
 この状態でカメラを振ると、画像ではバーの先端部上にある◆マークがもうひとつ出てきてメーターの左右に動く。露出は1/125秒でロックされ続けているが、カメラを振ってスポット測光範囲を移動させると、その部分の適正シャッタースピードが表示されるのだ。
 えーと、ややこしいな。つまり、現在AEロックした露出がある。それはメーターのバーで表されている。この場合1/125秒。この状態でカメラを動かすと、動かした時点のスポット測光範囲の露出が、現在の設定値からどのくらいズレているかが◆マークで一目瞭然なのだ。
 例えばこの画像の場合、右上の列車は、女性の顔よりわずかに暗い程度なので、適正範囲で写る。一方で空の部分は顔よりずいぶん明るいので白く飛んでしまう。画面内のどの部分が具体的に何段分明るいのか暗いのか、スポット測光エリアを移動すれば確実にわかってしまうのだ。
 こうやって画面を見渡して、必要があれば多重スポット測光を行い、狙いどおりの露出に持っていける。これは人力多分割測光だ。
 露出をカメラまかせで決められれば楽だ。現に今はデジカメでそうしている。でも、この時代の分割測光はそれほど精度が良くなかった。まして、今あえてフィルムカメラを使いたいという人は、ピントも露出も自分で操作したいはずだ。露出を確実に自分で決定するという点において、OM-3、OM-4ほど優れたカメラは無いと思う。
 読んでわかるとおり、多重スポット測光は面倒くさい。露出がややこしい状況でなければ、普通に中央重点測光で撮ればよい。

 OM-3、4には、ハイライト・シャドウモードというのもあった。スポット測光した範囲を真っ白、または真っ黒にするというものだ。具体的にはスポット測光の適正値に対して、ハイライトの場合+2EV、シャドウの場合-2 2/3EVの補正がかかる。これにもトンチキな悪口がある。補正値が固定されているのはおかしいと。自分で決めるものだろうと。しかし、重要な点が抜けている。白、もしくは黒にするのは、スポット測光範囲なのだ。どこを白、または黒にするかは自分で決める。そして、その範囲を白、または黒にする数値は、フィルムのラティチュードによって決まっている。人の感性がどうのという問題ではない。それに完全な真っ白、真っ黒から外したければ、露出補正を併用する手もある。

 画像はまたカタログからだが、OM-3、4の軍艦部はスポット測光、ハイライト・シャドウモードを非常に使いやすいレイアウトになっている。
 マルチスポットは他社のカメラに採用されたこともあった。しかし、メーター表示が普通だったので活かしにくかった。
 ハイライト・シャドウモードはOM-Dにも搭載されている。しかし、即座には呼び出しにくく、説明書にもろくな説明がない。
 オートに頼るのではなく、自分でカメラを設定して撮りたい。そういう人にOM-4はおすすめだ。

50ミリ標準レンズの誤解と40ミリ

 フルサイズの標準レンズは50ミリとされている。
 標準レンズというのは、撮像面対角の長さと同等の焦点距離を持つレンズのこと。人間の肉眼に近い、自然なパースペクティブが得られるとされる。
 でも、フルサイズ=35フィルムの対角は43ミリなんですよ。50ミリはわずかに望遠になる。35ミリフィルムカメラの標準レンズが50ミリになったのは、35ミリカメラの元祖といえるライカが50ミリを標準としたから。何故か。焦点距離がちょっとでも長い方がレンズが作りやすかったから。キリがいいからというのもあったかもしれんが。 
 他社はそれに倣った。特に日本のメーカーをはじめ、ライカコピーを作ってる場合は互換性の面で合わせる必要があった。ユーザーも50ミリに慣れた。一眼レフの時代に入って互換性が関係なくなっても、やっぱり50ミリを標準とし続けた。
 
 50ミリは見たまんまが撮れるというが、実際には画角が少し狭く感じる。極端に言えば中望遠。街角スナップなんかしてみると、引けなくて困ることがある。
 日本の街は道が狭いから広角気味の方が撮りやすい。広角をトリミングして望遠にすることはできるが、逆はできない。だから35ミリレンズを常用する人は多い。俺も35ミリを常用している。広角レンズはパースペクティブを活かした絵作りをするもんだが、35ミリ程度だとダイナミックな絵にはならない。「準広角」とかいわれ、広角レンズというより標準レンズの仲間とされる。50ミリは43ミリより7ミリ長いだけだが、35ミリだって8ミリ短いだけだ。でもやっぱりちょっと広角なので、「あ、今見てる景色撮ろう」と思ってファインダー覗くと広く写ってて、前に出なきゃいけない。
 
 見たままが撮りたければ43ミリレンズを使う必要がある。しかし43ミリはペンタックスのリミテッドしかない。
 40ミリと45ミリなら各社から出ていた。かつてコニカの40ミリを買ったことがあるが、大変使いやすかった。ミノルタの45ミリも昔買ったのだが、これは使用感が50ミリとあまり変わらない感じがした。
 何故か40〜45ミリレンズは薄型のものが多い。最近のキヤノンのもそう。40ミリは気軽に使うレンズとされた。本来の標準に近いのに、どういうわけか、ある種キワモノ扱い。俺は40ミリが好きなので釈然としないものがあった。
 
 本題ですが、出ますね。本気の40ミリ。シグマのF1.4ツァイスのF2。シグマの方はデカすぎるので、格好もよくブランドものでもあるツァイスに惹かれているのだが、まあ強烈に欲しいっすね。
 フルサイズミラーレス買うなら素性のいいニコンがいいなと思ってたけど、Batis 2/40のためにソニーが欲しいっすね。買えないっすけどね。

EOS Rとか

 EOS R出ましたな。ボディー内手ブレ補正がないのが不満だけども、インターフェースがおもしろそう。そんで35/1.8マクロが魅力的。常用焦点距離でハーフマクロまで寄れるという。これには手ブレ補正付いてるから安心。
 重さはボディー660g、レンズ305g、計965g。ちなみにニコンZは7も6も675g、35/1.8が370gで、80gくらい重いだけ。
 そんで、オリンパスで似たような構成にするとOM-D E-M1 Mark IIが574g、17/1.2が390gで計964g。EOS Rとほぼ同じですな。レンズを17/1.8にすると120gだけどこれはボケないからね。フォーサーズは小型だけど軽量ではない。うーん。
 
 私はOM-D E-M1無印のレンズキットが型落ち12万のときに買ったんで、17/1.2を合わせても25万くらいで済んでる。これ以上は出せない。
 でも今から買うとすれば、フルサイズ行っちゃうよなあ。
 キヤノンかニコンかは迷うところで、35/1.8マクロがあるキヤノンか、ボディー内手ブレ補正が付いてるニコンか。見た目的にはニコンの方が好き。どっちにしてもフルサイズミラーレス第1弾だから、練れてない部分があると思うんだよね。例えば瞳AFがキヤノンはS-AFのときのみ、ニコンはなくて顔認識のみとか。だからMark IIにあたるものが出てからとか言ってたらいつまで経っても買えないよな。っていうか買えないんだけど。
 欲しいと思って買えるときに買っちゃったOM-Dでがんばりますよ。

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO買ったのだが


 スナップ用途には大げさだったかなあという後悔が若干。
 左が今回買った17/1.2、右はOM-D E-M1のキットレンズ12-40/2.8。12-40/2.8は使い慣れてて、同じくらいの大きさなら問題ないと思ってたら、17ミリの方は本体が3ミリ長い上にフードが深くて1センチくらい大きい。この1センチ強の差が意外と大きかった。肩に提げて歩くときもぶつけないように気を遣う。慣れの問題かもしれないが。あと、デカいレンズは威圧感あってスナップ向きじゃない。ぱっと見に「レンズでかいな」って感じなんすよ。
 これで写りが良ければしょうがないと思えるんだけど、17/1.8と比べて値段も大きさも3倍くらいするにも関わらず、解像感はあんまり変わんないんじゃない?的な。まあ描写傾向が違って、線は1.2の方が細いし、一概には比べられないんだけど。
 F1.2のボケを得たければ、これ以外に選択肢はなく(コシナのF0.95もあるがMFだし)、ボケは宣伝どおりきれいなんだけどね。こんな感じで。絞った場合もF1.8と明確な差を感じさせて欲しかったなあ。
 
※追記
 なんかレビューではベタ褒めされています。「オリンパス17mm F1.2 PROは驚きの光学性能」
 さらにはカメラグランプリ2018 レンズ賞を受賞。いいレンズであることは間違いなのでしょう。
 でもなあ。撮った感じそうは思えないんだよなあ。色収差目立つし。例えばこれ。金網がピンクに見えるでしょう。本当はグレーなんだよね。パープルフリンジみたいなのが出てピンクになってる。もしかしてハズレ個体を引いたのかなあ。
 
※さらに追記
 「オリンパス「17mm F1.2 PRO」はボケがとても素晴らしいレンズ」というレビューが。ボケは素晴らしいが、解像力は中央と周辺で大きな差があり、総合得点は、5点満点で3.5。なんかこのへんが妥当な気が。
 とにかくF1.2の美しいボケが欲しければ買い。でなければ無理して買うことはないという感じでしょうか。
 個人的にスナップシューターとしてはOM-D E-M5 Mark IIIあたりに17/1.8を付けるのがフォーサーズらしい機動力と外観を得られる気がする。
 あたしゃもうF1.8売っちゃって、F1.2買っちゃったのでね。メインレンズにしてがんばっていきます。大口径にもかかわらず開放から使え、とろけるようなきれいなボケが得られるのは確か。それに、かっこいいよね。E-M1とプロレンズの組み合わせは。金属金属しててね。物品として魅力がある。

レンジファインダーがレトロ趣味だったように

 一眼レフは消えゆく存在なのかもしれない。ソニーは既にフルサイズミラーレスを発売して好評を得ているし、ニコン、キヤノンもフルサイズミラーレスを出すという噂がある。
 ミラーと光学ファインダーがなくなれば小型化できる。フランジバックが短くなればレンズ設計の自由度が高まる。高画素化するとフォーカス精度が問題になるが、一眼レフよりもセンサーで測距する方が利がある。EVFなら露出補正やホワイトバランスの調整もファインダーで確認できる。AF速度は既に問題なくなりつつある。残る欠点はバッテリーの保ちくらいか。
 で、だ。ミラーレスで先陣を切った我がマイクロフォーサーズだが、先見の明があったというより、わりとピンチなのでは。ボディーに限って言えばセンサーサイズが小さいからって他のパーツが小さくできるわけじゃない。ニコン、キヤノンがフルサイズに参入してきたら見劣りするんじゃないか。PENライトシリーズはエントリーユーザー向けのコンパクトなシステムとして生き残れそうだが、ハイエンドはどうか……。
 ニコン、キヤノンがフルサイズミラーレス出してくるとしたら新マウントだろうし、結局どこのメーカーでもイチからレンズ揃えないといけなくなる(マウントアダプターは当然出るとしても)。もしかしてもしかしたらオリンパスがフルサイズ出してくる可能性だってあるかもしれん。
 もうホントにわからんなー、という感じ。今後のことは。はっきりしてるのは俺は他のシステムに買い替える金がないということで。

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO

OLYMPUS 短焦点レンズ ED 17mm F1.2 防塵防滴耐低温 マイクロフォーサーズ用 M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO 17ミリ(34ミリ相当)といえば常用焦点距離なんだけど、標準域のプロレンズは既に25ミリが出てるし、広角寄りでボケにこだわったレンズはそんなに需要がない感じがする。なのに出た。この辺の画角しか使わない俺としては、よく出してくれたなあという思い。出してくれたんなら買わなきゃ。しかしかなりの贅沢品。
 もともとコンパクトなカメラが欲しくてPEN E-P5を買った。キットレンズは17/1.8。でも剛性感や操作性に不満があってOM-D E-M1に買い替えた。こちらのキットレンズは12-40/2.8のズーム。それなりに大きいシステムになった。
 PENに付いてた17/1.8は売らずに残したんだけども、OM-D E-M1にはなんだか似合わない。12-40/2.8の大きさにも慣れた。17/1.2は12-40/2.8と同じくらいの大きさだ。
 F1.2と1.8じゃたいして変わらないようだが、35ミリフルサイズ換算でボケの量を考えると、2.4と3.6。今まではプログラムAEで取っていたが、F2.4のボケが得られるなら絞り値を考慮して撮ろうかなという気になる。メーカーサンプルを見ると、近接ならここまでボケる。フォーサーズの標準域で絞り優先AEをやる意味が出てくる。フィルム時代に35/2を使ってた感覚に戻れる。そんなわけで無理して買うことにしましたよ。って言うか買いに行ったら1月末発売だってさ。
 フルサイズのα7II+35/2.8より重く高価なシステムになっちゃって、なんだかなあ感はある。でもオリンパスファンとしてはオリンパスの技術の粋を込めたレンズを使ってみたいじゃないですか。
 
※追記
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