LUMIX G 20mm/F1.7 II ASPH. H-H020A-K


 上の写真は肩から下げているところを自分で無理してiPhoneで撮ったらなんだかわかんなくなったものです。
 
 20/1.7。このレンズはマイクロフォーサーズを最初に買った7年前から気になってた。何度か書いてるとおり、私は40ミリの画角が好きで。ならば迷わず購入すべきなんだけど松下が。松下が嫌いなんですよ。
 松下と言えば大メーカー。研究機関もしっかりしてるはず。その松下がオカルトっぽいマイナスイオンに熱心だった。大メーカーにはその矜持と責任があるはず。なのに売れりゃいいと。
 そもそも、かつて松下は「マネした」と呼ばれ、「うちにはソニーという研究機関がある」と言ったとか言わないとか、まあ噂レベルだけど、よそが作ったものをあとからマネしておいしくいただいてるようなクリエイティビティーのなさを見せてた時期があり、そういうのは若かりし俺にはかっこ悪く映った。だけど大阪という土地柄、周囲には「ナショナルのお店」があり、今みたいに量販店で買うとかじゃなく近所付き合いもあったから、松下製品を買えという圧があった。ほんとはよそのメーカーの製品が欲しいのに。そんな過去もある。
 それでもたまに、松下製品買ってみてもいいんじゃないだろうかと思って、買ってみたら後悔する。デジカメで言えばコンデジのルミックスFX-7を買ったんだけど、充電器がダメな感じで、たぶんコントローラー的なものがダメなんだと思うけど、接触が悪いかのような動作を見せ、一方で勝手にカメラの電源が入るという怪奇現象も起きた。このカメラと同時期に買った電話機も、子機のクレイドルが接触悪い感じだった。松下は充電器もまともに作れないのかと。
 だからカメラにおいてルミックスというのは俺の中でないものになってた。
 
 それでもやっぱ40ミリですよ。この画角は魅力的。それにオリンパスの17/1.8売って、17/1.2を買っちゃったもんで、システムがデカくなっちゃった。これをメインで使っていくとして、マイクロフォーサーズの機動性も取り戻したいと。17/1.8を買い直すのはアレだけど、20/1.7なら焦点距離が違うからいいじゃないかと。そんで、松下にお金を入れないように中古でと。
 
 さて、届いてみて付けてみてレビュー。あら、いいじゃないの。17/1.8をE-M1に付けるとなんかちまちまして似合わなかったけど、これはストレートな短い円筒なので、すっきりしてかわいい。キャップをするとレンズ付いてないみたい。重さ的にも87グラムなんてのは17/1.2の390グラムに比べたらないも同然。軽快。ボディーまで小さくなったように感じる。
 AFが遅くてうるさいと聞いていたが、思ったほどじゃなかった。スピードはスナップには充分以上だし、音もメカっぽいノイズじゃなく、なんとも表現しにくい電子音みたいなもので不快じゃない。
 わたしゃフード付けて保護フィルター付けない派なんだけど、このレンズ、フードが用意されてない。エツミからフジツボ型フードが出てるものの、なんでか今はシルバーか白しか売ってない。なので不本意ながらフィルターを付けることにした。どうせならオリンパスの。ついでにオリンパスのレンズキャップも買うた。フィルター付けるとそのぶん出っ張るんでかわいさが減る。
 実際使ってみると、40ミリはやっぱりいい。写りはまあこんなもんかなーって感じ。等倍で見ると細部がもにょもにょしてる。17/1.8の方がシャープだった。まあ実売価格が結構違うし、値段なりの写りですな。

 絞り開放。悪くない描写。

 最大撮影倍率は0.25倍。普段使いには問題なく寄れる。17/1.8は0.16倍だった。

マイクロフォーサーズの良し悪し

OM-D E-M1 Mark II
 私の使ってるカメラはオリンパス OM-D E-M1 Mark IIでして、これにM.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PROがだいたい付けっぱなしになっとります。上の写真がその状態だけど、なんか散らかっててごめんなさい。
 あと12-40mm F2.8 PROと、40-150mm F4.0-5.6 Rがあって、24-300ミリ相当をカバーしてる。
 40-150は滅多に使わないので安レンズで済ましてるけど、メインの2本はプロレンズ。防塵防滴・静音で、作りの良い金属鏡胴。12-40/2.8は、大三元の中核をなすレンズとしては安価で小型軽量だ。これがまず、マイクロフォーサーズのいいとこ。
 17/1.2はいささか微妙だ。これだけの大口径レンズなら、それなりのお値段になるものだし、フルサイズじゃこんな大きさに収まらない。開放から使えて、近接ではとろけるようなボケが味わえる良いレンズだ。だがしかし。確かにハイスピードではあるが、ボケの大きさで言えばフルサイズのF2.4相当である。馴染みのいい近似値でF2.8。フルサイズで35/2.8なんてのは小型軽量で安価だ。例えばソニーのSonnar T* FE 35mm F2.8 ZAは値段もぐっとお安く、120グラムしかない。たかだかF2.4相当のボケを得るために、マイクロフォーサーズでは13万の投資と390グラムが要るわけだ。E-M1 Mark IIのボディー重量574グラム+レンズ390グラムで964グラム。α7 IIIだと、ボディー650グラム+レンズ120グラムで770グラム。なんとフルサイズの方が軽い。いやまあ単純に比べられるものではないけども。ボカしたいという欲求に応えられず、なんとかしようとすると高価で小型軽量でなくなってしまうのがマイクロフォーサーズの欠点。12-40/2.8も、ハイスピードなのはフルサイズと同等でも、ボケは同等じゃない。
 ただし、いつもボカしたいわけじゃない。こないだ、昔フィルムの一眼レフを使い出した頃の写真を見ていたら、なんだか知らんけど異様にピントが浅かった。初心者だったし、ISO 100のリバーサルで撮ってたせいもあるかもしれんが、なんでもっと絞らんの?ってのが多かった。あー、フルサイズのピントって浅いんだなーと改めて思ったりもした。特にスナップ用途では、パンフォーカス気味の方がありがたい場合が多い。ボカしたいより絞りたい。そういう面では被写界深度が深いことは、むしろメリットとなる。
 センサーが小さいので高感度特性が悪い。
 だが、近接撮影には強い。普通マクロレンズは被写体が撮像面に実物大で写るが、マイクロフォーサーズはセンサーが小さいのでこの場合2倍の大きさで写る。この特性のおかげで、12-40/2.8は0.6倍、17/1.2は0.3倍の最大撮影倍率を誇る。寄れるレンズは使いやすい。
 フォーマットが4:3である。これは利点だと思っている。他社はフィルムの因習を引きずって3:2にしているが長すぎる。プリントしても長辺が切れる。実際、戦後すぐに3:2のライカ判は長すぎるのでパーフォレーション(フィルムの上下に開いている四角い穴)1個分縮めたニホン判が提唱されたことがあった。しかしアメリカのスライドマウントとサイズが合わないとして却下された経緯がある。3:2は映画用フィルムの2コマ分であって、大昔にライカが決めたものだ。これにこだわる必要はない。4:3の方が合理的だ。
 ボディー。私はオリンパスしか知らない。他社のデジタル一眼を使ったことがない。
 まずデザイン。E-M5、E-M10あたりはフィルム時代のOMの印象を濃く残し、スタイリッシュに仕上がっている。しかし、E-M1は機能と操作性を優先したらこうなっちゃいました的なデザインで格好付ける余裕がなくなってる。初代E-M1は両肩が下がったデザインだったが、Mark IIではホールディング性をよくするためにグリップが大きくなり非対称になってしまった。この実用本位のデザインが好きだ。ちょっと不細工。でもかっこいい。
 操作性。2×2ダイヤルコントロールが使いやすい。レバーの切り替えで前後ダイヤルの機能が変更できる(ただ、キヤノンなんかはダイヤルが多いんで、切り替えなくても各機能をアサインできるのかもしれない)。ドライブモード、測光モードの切り替えなんかも直感的でわかりやすい。
 強力な手ブレ補正。キヤノンに負けてしまったが。
 超音波ダストリダクション。このおかげでレンズ交換に気を遣わずに済む。
 マグネシウム合金製ボディーは剛性感が高く、所持していて充実感がある。Mark IIは約10万で買った。Mark IIIは現在24万程度だ。OMシリーズは型落ちだとガクッと安くなり、値段分の以上の質感が得られる。
 総じて、マイクロフォーサーズは高品位・高性能なボディー・レンズが、比較的安価に、小型軽量で揃うシステムである。ただし、ボカそうと思わなければ。
 あとマイクロフォーサーズの利点によく挙げられるのは、望遠レンズがコンパクトなこと。なのだが、望遠は個人的に使わないんでなんとも言えない。
 ボケを活かすことも含めて、いろんな撮影に本格的に取り組んでみたいと思うなら、最初からフルサイズを買った方がいい。マイクロフォーサーズやAPS-Cではもの足りなくなる。
 デカいカメラを買っても結局持ち歩かなくなるとかいう場合は、E-M10、E-M5はいい選択になると思う。
 マイクロフォーサーズに骨を埋めようという人だけがE-M1を買えばいいと思う。埋められる場がいつまであるのかわからないが。

M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R

 オリンパスがカメラメーカーでなくなってしまう前に、必要なものがあれば、オリンパスのロゴ入りで買いたい。と、思ったんだけども、必要なものは別になかった。今、必要ではないけど、ひょっとしたらいるかもなーってものに、望遠レンズがある。以前は28-300ミリ相当の便利ズームを持っていたんだけど、画質の悪さにがっかりして、ちょっとこれは常用する気になれないなーと思ったのと、結局望遠使わなかったので売ってしまった。しまったけど、ちょっと後悔している。
 そんでアマゾンで見つけたのがこれなんだけど異常に安い。モノとしては80-300相当の望遠ズーム。Wズームキットとかに付いてるヤツですわね。マウントもプラスチックで。お子さんの運動会とか撮るの。これ、価格.comで見ると3万円5000円とかするんですよ。それがアマゾンだと執筆時1万2800円。さらに並行輸入品だと9980円と中古並の安さ。調べてみるとどうもキットばらしみたい。だとしたら一度開封してるので新品じゃなく新同品になるという話もあるが、そこまで厳密でもないのだろう。
 まあともかく安い。望遠使わないんだけど、こんだけ安けりゃ持っててもいいんじゃなかろうか? 動物園行ったときとか(行く予定なし)、寺社仏閣の屋根の方の飾り物を撮るとか(行く予定なし)、人気コスプレイヤーの囲みに混ざるとか(行く予定なし)、なんか、なんかに使えるのでは? 190gと小型軽量。気軽に持ち出せる。これがF2.8プロレンズになると、重いから持ってかないしね。買えないしね。
 
 しばらく悩んで結局買いましたよ。本体が安いだけに別売りのフードが3430円はどうなのよって気がするが、これも購入。
 本当に小さいし軽い。マイクロフォーサーズならでは。フード付けた状態で全長が17/1.2と変わらない。外観は安っぽく、華奢な感じがしてちょっと怖い。
 肝心の写り。「キットレンズは下手なもの付けられないからC/Pがいい」という人がいるが本当なのか。
 手放した便利ズームM.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6は描写が大雑把でなんかイヤな印象だったが、今度の40-150mm F4.0-5.6 Rは素直な写り。
ワイド端
 なんでもない写真ですみませんが、葉っぱとか写ってた方が解像感わかるかと思って。まずワイド端。右側の塔?にピントを合わせた。等倍で見ると塔の輪郭に色収差が出てる(クリックで拡大)。この写真ではないが、画面隅の電線にパープルフリンジが出ることもあった。
テレ端
 テレ端。上の写真の左下をズームしたもの。「ここはあぶない!」の看板が読めるけどハレーションが出ているような甘さがある。
ハト
 ほぼテレ端。等倍で羽のディティールを見てもらえば、どのくらいの解像度かわかりやすいのでは。
 総じて、決してシャープではないが3万円クラスの小型レンズとしてはアリだなと思った。かてて加えてこの値段ならお買い得!

オリンパス、映像事業を譲渡

OLYMPUS
 オリンパスの話は何度もしているので、まあ改めて言うこともないかなと。でもなんかは書いておくかなと。上の写真はOM-2で撮ったもの。
 
 さようならオリンパス、夢をありがとうというEngadget日本版の記事がよくまとまってる。
 ただ、トップにO-Productを持ってきてるのは気に入らない。このカメラのデザインは機能と関係がない。限定生産だからできた遊びなんですよ。いかにもバブル臭い代物で、あたしゃ嫌いです。確かにキャッチーかもしれないけど、これに触れるくらいなら初代μを紹介してほしかった。
 「最後には天才設計者と言われた米谷 美久氏の知産に寄りかかりすぎて倒れてしまった感があるのは、実に残念です」とあるが、米谷氏に関連した文句は私も言ってて、これです。で、米谷氏というのはこういう人です。
 
 ほんで今後だけど、しばらくの間はオリンパスブランドで出るけど、その後なんか別のブランド名になると(Takachihoとかになればいいのに)。オリンパスはカメラメーカーではなくなってしまう。
 OM、PEN、ZUIKOのブランドは譲渡先で続いていき、サポートも継続するそうで。当然開発者も続投するわけだから、ブランド名が変わっても応援していきたい。
 が、実際のところ現に儲からないから売りに出された映像部門が独立してこれから黒でやっていけるのかと考えると……。いや! がんばっていただきたい! ショップの売上げランキング見るとオリンパスいつも入ってるしね。Toughシリーズも売れてるみたいだし。
 下の写真はOM-D E-M1で撮ったもの。
zuiko

オリンパス OM-D E-M1 Mark II

 買うてしまいましたがな。Mark III発売で底値になってて、購入時10万4999円。当然ボディーのみ。コロナ給付金を使い込む感じで。
 今まで使ってた無印E-M1には持病がふたつあって、ひとつは後ダイヤルが空回りすること。ふたつめはストラップ取り付け金具が外れること。このうち、ひとつめの症状がウチにも出た。
 オリンパスにはカメラ事業撤退の噂がある。撤退するとサポートもそれなりになるだろう。持病を持ったカメラを使い続けるのは不安だ。進歩の早いデジカメの世界で7年前のモデルでもある。
 そんな先行き不透明なシステムは捨てて別のメーカーのシステムに乗り換えればいいのだが、たった2本とはいえ20万円分のレンズを買っちゃってるし、フィルム時代からオリンパス好きだし、実際オリンパスは使い勝手いいと思うんですよ。カメラ事業辞めてほしくないんで、いくらかお金入れるつもりで。ならMark III買うべきなんだろうけど、貧乏で無理なんで、その辺は収入しっかりある人に頑張ってもらって。

オリンパスOM-4Ti Black

OM-4TiB
 このサイトでは、コニカTC-XフジカST801について書いた記事に定期的にアクセスがあるのだけど、私がメインで使っていたフィルムカメラは、オリンパスOM-4チタンブラックだ。このカメラが究極のMFカメラだと思っている。その素晴らしさについて書いてみたい。ある程度カメラの知識がないとわかんない話でもあり、オリンパスマニアの独り言でもあるので、多分に通じにくいとは思うが。
 今はデジタルのOM-D E-M1を使っていて、フィルムカメラは全部処分してしまったので、画像はカタログに頼ることになる。

 MFカメラのおもしろみは、まずピントを自分で合わせること。
 もうひとつは露出を自分で合わせること。OM-4はマニュアル露出ではなく、絞り優先AE機だが、「出た目」(露出計の指示どおりの露出)で撮るのなら、マニュアルは単に出た目に合わせてダイアルを自分で回すだけのことで、AEはその手間を省いてくれる便利な機能だ。どちらも大差ない。

 OM-4が発売された’83年、マルチパターン測光を採用したニコンFAが出ている。以後、各社これに習い多分割測光を採用していく。「マルチパターン測光」はニコンの呼び名で、「評価測光」がキヤノン。なんにしても、撮影画面をいくつかの領域に分割して測光し、その結果を「評価」して露出を決める。ニコンFAでは5分割に過ぎなかったが、今では何百もの領域に分割して測光。その結果を評価する。アルゴリズムも進歩している。おかげで今では「出た目」で撮っても大した問題がない状態になった。
 フォーカスはオートで、露出もオートで。明暗の具合だけは好みなので露出補正をかけて。ミラーレスカメラなら、露出補正のかかり具合もファインダーで確認できる。OM-Dでの撮影はそんな感じで非常に楽に行っている。

 と、これは今の話。’80年代に話を戻す。ニコンFAは5分割測光だった。当然十分ではない。OM-4は多分割測光を採用せず、代わりにマルチスポット測光を搭載した。最大8点までのスポット測光の結果を加重平均して露出を決める。
 マルチスポット測光には定番の悪口がある。8点も測光したら平均測光と変わらなくなるなど。いや、誰も毎度毎度8点測光しろと言っていない。必要なときに必要な回数測光すればいい。例えば、主となる被写体に2点、ここも重要というところに1点、そういう使い方でいい。

 マルチスポット測光の優れているのはメーター表示だ。上はカタログから、ファインダーを覗いた状態の画像。1点スポットしたものだ。OM-4は絞り優先AEなので、メーターにはシャッタースピードが表示されている。この画像の場合、設定した絞り値で顔の部分が適正露出になるシャッタースピードは1/125秒ということになる。
 この状態でカメラを振ると、画像ではバーの先端部上にある◆マークがもうひとつ出てきてメーターの左右に動く。露出は1/125秒でロックされ続けているが、カメラを振ってスポット測光範囲を移動させると、その部分の適正シャッタースピードが表示されるのだ。
 えーと、ややこしいな。つまり、現在AEロックした露出がある。それはメーターのバーで表されている。この場合1/125秒。この状態でカメラを動かすと、動かした時点のスポット測光範囲の露出が、現在の設定値からどのくらいズレているかが◆マークで一目瞭然なのだ。
 例えばこの画像の場合、右上の列車は、女性の顔よりわずかに暗い程度なので、適正範囲で写る。一方で空の部分は顔よりずいぶん明るいので白く飛んでしまう。画面内のどの部分が具体的に何段分明るいのか暗いのか、スポット測光エリアを移動すれば確実にわかってしまうのだ。
 こうやって画面を見渡して、必要があれば多重スポット測光を行い、狙いどおりの露出に持っていける。これは人力多分割測光だ。
 露出をカメラまかせで決められれば楽だ。現に今はデジカメでそうしている。でも、この時代の分割測光はそれほど精度が良くなかった。まして、今あえてフィルムカメラを使いたいという人は、ピントも露出も自分で操作したいはずだ。露出を確実に自分で決定するという点において、OM-3、OM-4ほど優れたカメラは無いと思う。
 読んでわかるとおり、多重スポット測光は面倒くさい。露出がややこしい状況でなければ、普通に中央重点測光で撮ればよい。

 OM-3、4には、ハイライト・シャドウモードというのもあった。スポット測光した範囲を真っ白、または真っ黒にするというものだ。具体的にはスポット測光の適正値に対して、ハイライトの場合+2EV、シャドウの場合-2 2/3EVの補正がかかる。これにもトンチキな悪口がある。補正値が固定されているのはおかしいと。自分で決めるものだろうと。しかし、重要な点が抜けている。白、もしくは黒にするのは、スポット測光範囲なのだ。どこを白、または黒にするかは自分で決める。そして、その範囲を白、または黒にする数値は、フィルムのラティチュードによって決まっている。人の感性がどうのという問題ではない。それに完全な真っ白、真っ黒から外したければ、露出補正を併用する手もある。

 画像はまたカタログからだが、OM-3、4の軍艦部はスポット測光、ハイライト・シャドウモードを非常に使いやすいレイアウトになっている。
 マルチスポットは他社のカメラに採用されたこともあった。しかし、メーター表示が普通だったので活かしにくかった。
 ハイライト・シャドウモードはOM-Dにも搭載されている。しかし、即座には呼び出しにくく、説明書にもろくな説明がない。
 オートに頼るのではなく、自分でカメラを設定して撮りたい。そういう人にOM-4はおすすめだ。

50ミリ標準レンズの誤解と40ミリ

 フルサイズの標準レンズは50ミリとされている。
 標準レンズというのは、撮像面対角の長さと同等の焦点距離を持つレンズのこと。人間の肉眼に近い、自然なパースペクティブが得られるとされる。
 でも、フルサイズ=35フィルムの対角は43ミリなんですよ。50ミリはわずかに望遠になる。35ミリフィルムカメラの標準レンズが50ミリになったのは、35ミリカメラの元祖といえるライカが50ミリを標準としたから。何故か。焦点距離がちょっとでも長い方がレンズが作りやすかったから。キリがいいからというのもあったかもしれんが。 
 他社はそれに倣った。特に日本のメーカーをはじめ、ライカコピーを作ってる場合は互換性の面で合わせる必要があった。ユーザーも50ミリに慣れた。一眼レフの時代に入って互換性が関係なくなっても、やっぱり50ミリを標準とし続けた。
 
 50ミリは見たまんまが撮れるというが、実際には画角が少し狭く感じる。極端に言えば中望遠。街角スナップなんかしてみると、引けなくて困ることがある。
 日本の街は道が狭いから広角気味の方が撮りやすい。広角をトリミングして望遠にすることはできるが、逆はできない。だから35ミリレンズを常用する人は多い。俺も35ミリを常用している。広角レンズはパースペクティブを活かした絵作りをするもんだが、35ミリ程度だとダイナミックな絵にはならない。「準広角」とかいわれ、広角レンズというより標準レンズの仲間とされる。50ミリは43ミリより7ミリ長いだけだが、35ミリだって8ミリ短いだけだ。でもやっぱりちょっと広角なので、「あ、今見てる景色撮ろう」と思ってファインダー覗くと広く写ってて、前に出なきゃいけない。
 
 見たままが撮りたければ43ミリレンズを使う必要がある。しかし43ミリはペンタックスのリミテッドしかない。
 40ミリと45ミリなら各社から出ていた。かつてコニカの40ミリを買ったことがあるが、大変使いやすかった。ミノルタの45ミリも昔買ったのだが、これは使用感が50ミリとあまり変わらない感じがした。
 何故か40〜45ミリレンズは薄型のものが多い。最近のキヤノンのもそう。40ミリは気軽に使うレンズとされた。本来の標準に近いのに、どういうわけか、ある種キワモノ扱い。俺は40ミリが好きなので釈然としないものがあった。
 
 本題ですが、出ますね。本気の40ミリ。シグマのF1.4ツァイスのF2。シグマの方はデカすぎるので、格好もよくブランドものでもあるツァイスに惹かれているのだが、まあ強烈に欲しいっすね。
 フルサイズミラーレス買うなら素性のいいニコンがいいなと思ってたけど、Batis 2/40のためにソニーが欲しいっすね。買えないっすけどね。