PEN EPシリーズがPEN F風味のデザインを採用したことに何度か文句を言った。そのくせ、しばらく前から噂になってた“OM-D”の名称には、OMユーザーとしてドキドキするものがあった。
OMシリーズはAFシステムへの移行に失敗した結果、マニュアルフォーカスの上位2機種だけがロングセラーとして存続し続けることになり(のちにOEMの普及機が加わる)、’02年に消滅した。
翌年、フォーサーズEシリーズが発売される。Eシステムはデジタル専用に新設計したことが売りだった。他社はフィルムカメラのレンズがそのまま使えることを売りにしていたが、フィルム用に作られたレンズはデジカメには適さないと主張していた。で、あれば当然OMとの血脈が切れていることを強調しなければならない。それにマニュアルフォーカスのフィルムカメラなんて、時代遅れな不良資産はアフターサービスをとっとと打ち切りたかっただろう。OMはオリンパスの手で葬られた。ニコンD1、EOS-1Dのような、OM-Dは出なかったのだ。
それが出る。出ないはずのOM-Dが出る。いや、今のペンと昔のペンが全然別物なのと同様、OM-DがOMじゃないのはわかっている。でも、うちにあるOMと似た感じのデジカメがあったら愉快な気がする。期待しちゃいけないと思いながら、ちょっとは期待してた。
で、出てみると、やっぱりダメだったねえ。単純にかっこ悪い。ちょっとでも期待した自分がバカだった。
フォルクスワーゲン・ニュービートルまでの仕事は望まないにせよ、ガンダムがその後の解釈で今風になっていくみたいなことはできなかったんだろうか。
OM-1とOM-2が一番かっこいい一眼レフだと思ってる「かつてのオリンパス」ファンの期待に、今のオリンパスはてんで応えてくれない。むしろ商売の都合でだけ伝統を持ち出してきて、冒涜してる感じがする。
ウルトラQの途中から、ウルトラマン全部、ウルトラセブンの途中までの美術監督を務めたのが成田亨。ウルトラマン、ウルトラセブンそのものはもちろん、カネゴン、バルタン星人、ゼットン、エレキングなど、今も人気の怪獣のデザインの多くは彼の手によるもの。俺は尊敬してるというか、怪獣ファンはみんな尊敬している。
帰ってきたウルトラマンに二重線のウルトラマンが登場したことについて、成田亨は苦言を呈していた。自分のデザインではなく、勝手に余計なことをされたと。
平成ウルトラマン初期3部作は結構おもしろかった。作り手がなにかをやろうとしていた。いいものを作ろうとしていた。
4作目のコスモスで「怪獣を殺さないウルトラマン」なんて、どうにも会議室で決まったくさいコンセプトが掲げられて見る気を失った。実際おもしろくなかった。次のネクサスは「大人も楽しめる」シリアス路線を打ち出して失敗。早々に撤退して次に出したのが「親子そろって楽しめる」マックス。懐かしの怪獣がパワーアップして出てきたりする。
マックスは見ればそれなりにおもしろいのかもしれんが、商売っ気はもうカンベン。それに成田亨を尊敬する者としては、余計な小細工が追加された怪獣は見たくない。
円谷は新しいものを作らず、過去の遺産を食いつぶす方向に行った。
けど、昔の怪獣が出てきても懐かしさを楽しめない。昔のウルトラは今も生きていて、今作られているものは、その冒涜だから。
今のPENもOMも、コンセプトは踏襲せず、上っ面だけ過去の自社製品のマネをしてる。
PENとOMを作り上げた開発者にしてデザイナー、米谷美久を尊敬する者としては、もうちょっとマシなもの作ってほしいのだが。
▼仰るとおりですねぇ、ほんとに。平成初期三作まではがんばってましたよね。デジペンはやっぱり買う気になれなかったんですよね。まずペンならミラーレスじゃなく、コンパクトからスタートしてくれないと。
でも最近のオリンパスは結構がんばってますね。
文句言った手前もあり、PEN E-P5買ってしまいました。