本田透『電波男』

%u96FB%u6CE2%u7537  買う前は基本的に冗談が書いてあると思ってて、そのわりには分厚いな、大丈夫かな、不毛じゃないかなと若干不安だったんだけど、面白かった。ギャグじゃないって言っちゃうとアレだけど、真面目に面白かった。
 欄外の脚注(の書き出し)を引用。

※デヴィッド・シルヴィアン
ミュージシャン。イケメン音楽家・引きこもり派。
※モリッシー
イギリスのミュージシャン。キモメン音楽家・引きこもり派。

 こんな解説見たことない。イケメン/キモメン、二次元=妄想=作品世界とした上で、二次元/三次元に分類すれば見えてくるものがあるんだなあと。
 
 俺も電車男は「エルメス」ってコードネームでもう興味持てなかったクチで。俺に関係ない話だわと。オタがオタを治して彼女できてハッピーエンドって、どこがいい話やねんと。ヤな話だなあと。「モテ」ってのは間違い探しかと。正常になればいいのかと。読んでないから知らずに言ってますけども。
 一方で「モテ」ってのはコミュニケーションの問題なんでしょうな。俺はモテない以前に友達少ないけども、それはコミュニケーションに問題あるからで。自分が寂しいだけならいいが、人に害があるんで治さなきゃいけない。言うてもこうなった積み重ねがあるからそうそう治らんのだが。
 妄想世界に行ったまんまってのも、それはそれでいい話と思えない。『下妻物語』の桃子は、周囲から浮いてて、この世界にいなくて、地に足が着いてない。それをイチゴが地面に降ろす。文字通り地面に降ろすシーンが2回出てきて、そのひとつが冒頭の生死の分かれ目。俺はこういうのを「ええ話や」と思ってしまうんで。永野のりこも柏木ハルコも、変な人間が変なまんま、なんとかなる話を書いてて好きだ。まあ、これらも二次元なわけですが。
 
 女は男を常に査定しててキモメンは差別されるってのがこの本の前提だけど、女から見れば逆じゃないかとも思った。一般に、女性の方が容姿を問われることが多いのでは。
 一般に女性の売り手市場だとは思うんだけど、逆の部分もあって、男と女、どういう状況でどっちが「売り」に回るのかとか、結構いろいろ根の深い話な気がする。
 あー、何言ってんのかわからんな。具体的に書くと変なことになっちゃうんだけど、例えばサービスを提供する側なのはどっちか、とか。ゲットするまでは一般に男がサービスする側で。商売としては逆に男がサービスを受ける側、買う側、払う側で。これはセットなんだろうな、とか。つまり「商売女に金使わないで私にサービスしなさいよ」は矛盾してるのかもしれず。
 これが男女逆になる場合、まったく反転した状態にならないとしたら、そのならない部分にねじれがあるのかもなとか。あー、やっぱり何言ってんのかわからんな。
 あと『赤灯えれじい』は大雑把には昔の少女マンガの逆パターンだなあとか。地味で取り柄のない男と、不良っぽくて美形の女のカップル。これがとてもしっくり来るのはどういうことだろうとか。
 今日本屋で『マザコン男は買いである』って本出てるの見たけど、これは男売ってるな、とか。
 この話にオチはないけども。
 
 読んでる間自分を振り返ったり、『すげこま』読み返したり、『タクシードライバー』観直したり、いろいろ考えさせられた。

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