マイクロフォーサーズの良し悪し

OM-D E-M1 Mark II
 私の使ってるカメラはオリンパス OM-D E-M1 Mark IIでして、これにM.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PROがだいたい付けっぱなしになっとります。上の写真がその状態だけど、なんか散らかっててごめんなさい。
 あと12-40mm F2.8 PROと、40-150mm F4.0-5.6 Rがあって、24-300ミリ相当をカバーしてる。
 40-150は滅多に使わないので安レンズで済ましてるけど、メインの2本はプロレンズ。防塵防滴・静音で、作りの良い金属鏡胴。12-40/2.8は、大三元の中核をなすレンズとしては安価で小型軽量だ。これがまず、マイクロフォーサーズのいいとこ。
 17/1.2はいささか微妙だ。これだけの大口径レンズなら、それなりのお値段になるものだし、フルサイズじゃこんな大きさに収まらない。開放から使えて、近接ではとろけるようなボケが味わえる良いレンズだ。だがしかし。確かにハイスピードではあるが、ボケの大きさで言えばフルサイズのF2.4相当である。馴染みのいい近似値でF2.8。フルサイズで35/2.8なんてのは小型軽量で安価だ。例えばソニーのSonnar T* FE 35mm F2.8 ZAは値段もぐっとお安く、120グラムしかない。たかだかF2.4相当のボケを得るために、マイクロフォーサーズでは13万の投資と390グラムが要るわけだ。E-M1 Mark IIのボディー重量574グラム+レンズ390グラムで964グラム。α7 IIIだと、ボディー650グラム+レンズ120グラムで770グラム。なんとフルサイズの方が軽い。いやまあ単純に比べられるものではないけども。ボカしたいという欲求に応えられず、なんとかしようとすると高価で小型軽量でなくなってしまうのがマイクロフォーサーズの欠点。12-40/2.8も、ハイスピードなのはフルサイズと同等でも、ボケは同等じゃない。
 ただし、いつもボカしたいわけじゃない。こないだ、昔フィルムの一眼レフを使い出した頃の写真を見ていたら、なんだか知らんけど異様にピントが浅かった。初心者だったし、ISO 100のリバーサルで撮ってたせいもあるかもしれんが、なんでもっと絞らんの?ってのが多かった。あー、フルサイズのピントって浅いんだなーと改めて思ったりもした。特にスナップ用途では、パンフォーカス気味の方がありがたい場合が多い。ボカしたいより絞りたい。そういう面では被写界深度が深いことは、むしろメリットとなる。
 センサーが小さいので高感度特性が悪い。
 だが、近接撮影には強い。普通マクロレンズは被写体が撮像面に実物大で写るが、マイクロフォーサーズはセンサーが小さいのでこの場合2倍の大きさで写る。この特性のおかげで、12-40/2.8は0.6倍、17/1.2は0.3倍の最大撮影倍率を誇る。寄れるレンズは使いやすい。
 フォーマットが4:3である。これは利点だと思っている。他社はフィルムの因習を引きずって3:2にしているが長すぎる。プリントしても長辺が切れる。実際、戦後すぐに3:2のライカ判は長すぎるのでパーフォレーション(フィルムの上下に開いている四角い穴)1個分縮めたニホン判が提唱されたことがあった。しかしアメリカのスライドマウントとサイズが合わないとして却下された経緯がある。3:2は映画用フィルムの2コマ分であって、大昔にライカが決めたものだ。これにこだわる必要はない。4:3の方が合理的だ。
 ボディー。私はオリンパスしか知らない。他社のデジタル一眼を使ったことがない。
 まずデザイン。E-M5、E-M10あたりはフィルム時代のOMの印象を濃く残し、スタイリッシュに仕上がっている。しかし、E-M1は機能と操作性を優先したらこうなっちゃいました的なデザインで格好付ける余裕がなくなってる。初代E-M1は両肩が下がったデザインだったが、Mark IIではホールディング性をよくするためにグリップが大きくなり非対称になってしまった。この実用本位のデザインが好きだ。ちょっと不細工。でもかっこいい。
 操作性。2×2ダイヤルコントロールが使いやすい。レバーの切り替えで前後ダイヤルの機能が変更できる(ただ、キヤノンなんかはダイヤルが多いんで、切り替えなくても各機能をアサインできるのかもしれない)。ドライブモード、測光モードの切り替えなんかも直感的でわかりやすい。
 強力な手ブレ補正。キヤノンに負けてしまったが。
 超音波ダストリダクション。このおかげでレンズ交換に気を遣わずに済む。
 マグネシウム合金製ボディーは剛性感が高く、所持していて充実感がある。Mark IIは約10万で買った。Mark IIIは現在24万程度だ。OMシリーズは型落ちだとガクッと安くなり、値段分の以上の質感が得られる。
 総じて、マイクロフォーサーズは高品位・高性能なボディー・レンズが、比較的安価に、小型軽量で揃うシステムである。ただし、ボカそうと思わなければ。
 あとマイクロフォーサーズの利点によく挙げられるのは、望遠レンズがコンパクトなこと。なのだが、望遠は個人的に使わないんでなんとも言えない。
 ボケを活かすことも含めて、いろんな撮影に本格的に取り組んでみたいと思うなら、最初からフルサイズを買った方がいい。マイクロフォーサーズやAPS-Cではもの足りなくなる。
 デカいカメラを買っても結局持ち歩かなくなるとかいう場合は、E-M10、E-M5はいい選択になると思う。
 マイクロフォーサーズに骨を埋めようという人だけがE-M1を買えばいいと思う。埋められる場がいつまであるのかわからないが。

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