オリンパスOM-4TiB

OM-4TiB
 このサイトでは、コニカTC-XフジカST801について書いた記事に定期的にアクセスがあるのだけど、私がメインで使っていたフィルムカメラは、オリンパスOM-4チタンブラックだ。このカメラが究極のMFカメラだと思っている。その素晴らしさについて書いてみたい。ある程度カメラの知識がないとわかんない話でもあり、オリンパスマニアの独り言でもあるので、多分に通じにくいとは思うが。
 今はデジタルのOM-D E-M1を使っていて、フィルムカメラは全部処分してしまったので、画像はカタログに頼ることになる。

 MFカメラのおもしろみは、まずピントを自分で合わせること。
 もうひとつは露出を自分で合わせること。OM-4はマニュアル露出ではなく、絞り優先AE機だが、「出た目」(露出計の指示どおりの露出)で撮るのなら、マニュアルは単に出た目に合わせてダイアルを自分で回すだけのことで、AEはその手間を省いてくれる便利な機能だ。どちらも大差ない。

 OM-4が発売された’83年、マルチパターン測光を採用したニコンFAが出ている。以後、各社これに習い多分割測光を採用していく。「マルチパターン測光」はニコンの呼び名で、「評価測光」がキヤノン。なんにしても、撮影画面をいくつかの領域に分割して測光し、その結果を「評価」して露出を決める。ニコンFAでは5分割に過ぎなかったが、今では何十もの領域に分割して測光。その結果を評価する。アルゴリズムも進歩している。おかげで今では「出た目」で撮っても大した問題がない状態になった。
 フォーカスはオートで、露出もオートで。明暗の具合だけは好みなので露出補正をかけて。ミラーレスカメラなら、露出補正のかかり具合もファインダーで確認できる。OM-Dでの撮影はそんな感じで非常に楽に行っている。

 と、これは今の話。’80年代に話を戻す。ニコンFAは5分割測光だった。当然十分ではない。OM-4は多分割測光を採用せず、代わりにマルチスポット測光を搭載した。最大8点までのスポット測光の結果を加重平均して露出を決める。
 マルチスポット測光には定番の悪口がある。8点も測光したら平均測光と変わらなくなるなど。いや、誰も毎度毎度8点測光しろと言っていない。必要なときに必要な回数測光すればいい。例えば、主となる被写体に2点、ここも重要というところに1点、そういう使い方でいい。

 マルチスポット測光の優れているのはメーター表示だ。上はカタログから、ファインダーを覗いた状態の画像。1点スポットしたものだ。OM-4は絞り優先AEなので、メーターにはシャッタースピードが表示されている。この画像の場合、設定した絞り値で顔の部分が適正露出になるシャッタースピードは1/125秒ということになる。
 この状態でカメラを振ると、画像ではバーの先端部上にある◆マークがもうひとつ出てきてメーターの左右に動く。露出は1/125秒でロックされ続けているが、カメラを振ってスポット測光範囲を移動させると、その部分の適正シャッタースピードが表示されるのだ。
 えーと、ややこしいな。つまり、現在AEロックした露出がある。それはメーターのバーで表されている。この場合1/125秒。この状態でカメラを動かすと、動かした時点のスポット測光範囲の露出が、現在の設定値からどのくらいズレているかが◆マークで一目瞭然なのだ。
 例えばこの画像の場合、右上の列車は、女性の顔よりわずかに暗い程度なので、適正範囲で写る。一方で空の部分は顔よりずいぶん明るいので白く飛んでしまう。画面内のどの部分が何段分明るいのか暗いのか、スポット測光エリアを移動すれば確実にわかってしまうのだ。
 こうやって画面を見渡して、必要があれば多重スポット測光を行い、狙いどおりの露出に持っていける。これは人力多分割測光だ。
 露出をカメラまかせで決められれば楽だ。現に今はデジカメでそうしている。でも、この時代の分割測光はそれほど精度が良くなかった。まして、今あえてフィルムカメラを使いたいという人は、ピントも露出も自分で操作したいはずだ。露出を確実に自分で決定するという点において、OM-3、OM-4ほど優れたカメラは無いと思う。

 OM-3、4には、ハイライト・シャドウモードというのもあった。スポット測光した範囲を真っ白、または真っ黒にするというものだ。具体的にはスポット測光の適正値に対して、ハイライトの場合+2EV、シャドウの場合-2 2/3EVの補正がかかる。これにもトンチキな悪口がある。補正値が固定されているのはおかしいと。自分で決めるものだろうと。しかし、重要な点が抜けている。白、もしくは黒にするのは、スポット測光範囲なのだ。どこを白、または黒にするかは自分で決める。そして、その範囲を白、または黒にする数値は、フィルムのラティチュードによって決まっている。人の感性がどうのという問題ではない。それに完全な真っ白、真っ黒から外したければ、露出補正を併用する手もある。

 画像はまたカタログからだが、OM-3、4の軍艦部はスポット測光、ハイライト・シャドウモードを非常に使いやすいレイアウトになっている。
 マルチスポットは他社のカメラに採用されたこともあった。しかし、メーター表示が普通だったので活かしにくかった。
 ハイライト・シャドウモードはOM-Dにも搭載されている。しかし、即座には呼び出しにくく、説明書にもろくな説明がない。
 オートに頼るのではなく、自分でカメラを設定して撮りたい。そういう人にOM-4はおすすめだ。

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