ゴーバスターズの冥界

 ぼけっと洗いものをしながら、ゴーバスターズの亜空間って冥界だったんだなと今さら思った。

 スーパーコンピューター「メサイア」がウィルスに侵され暴走。これを抑えるため、研究員は施設ごと亜空間に転送してしまう。施設にいた3人の子どもだけが、ワクチンプログラムによってもとの世界へ戻される。彼らは13年後、この世界を侵略しようとするメサイアと戦うゴーバスターズとなる。
 
 という設定。ゴーバスターズの使命はメサイアのシャットダウン。ただ、それだけ。本人たちは亜空間に消えた両親たちが生きていると信じ、救いたいと思っているが、組織はその件に触れない。実際、最終回で救えなかった。普通ならみんな帰ってきてハッピーエンドになりそうなのに。
 
 亜空間はこの世界ではない世界。あの世。冥界だか天界だか、その種に近い。ゴーバスターズはそんな世界から特殊な能力と特殊な欠点を授かってこの世に生まれた。
 4人目のバスターズである陣さんはアバターで、本体は亜空間にあり、この世には半分しか存在していない。亜空間の本体も半分消えかかっている。半分人間、半分幽霊のようなもの。最終回では本体が消滅したあと、幽霊そのものの出現の仕方をする。
 主人公ヒロムの父も、陣さんと一緒に幽霊のように現れてゴーバスターズを救う。
 バスターズは救われるが、亜空間は取り込まれた人たちごと消滅してしまう。

 エンディングを見たあとで思えば、亜空間の人たちは最初から消滅していたのと同じようなもの。逆に言えば消滅した人はずっと存在していたし、存在し続ける。その存在を気にかける人たちのあいだで。
 先達の死を現世の人間は救えない。けど現世の人間は先達がいるから生きている。そういうかたちで死んだ人は生きる。
 一方、敵はプログラムであり、人間のコピーであり、「怪人」は自我を与えられた物質だったりで、霊性がない。
 バスターズのパートナーロボット、バディロイドはどうなんだってことになるが、ちゃんと樹液が陣さんを供養している。
 そういう話だったのかなと。
 ヒロムが語った「完璧なデータVS不完全だから繋がっていく人間」の対比だけに気を取られてこっちを見逃してた。
 繋がっていくといえば、つげ義春『ゲンセンカン主人』に「だって前世がなかったら 私たちはまるで 幽霊ではありませんか」ってセリフがある。前世だけじゃなく、先祖や先達も自分を保証するものだろう。
 あと、なんで敵の名前は「メサイア」だったんだろう。

 キョウリュウジャーもおもろいですな。

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