■ジョアン・ジルベルトの1st.『Chega De Saudade』がCD化されてた。
上はアマゾンにリンク貼ってるけど、タワレコの方が安いです。
一般にブラジル音楽っていったらボサノバでしょ。で、ボサノバの創始者はジョアン・ジルベルト。彼が最初にボサノバを吹き込んだレコードつったら最重要ですよ。ブラジルで1枚つったらまずこれってことになるのだが、初CD化であり、これもなんかちょっと怪しいという。
昔1st.〜3rd.を1枚に収めた『ジョアン・ジルベルトの伝説』っていうのが出てたんだけど廃盤になった。曲順がオリジナルと違うなどで、完璧主義者のジョアンからクレームが付いたそうだ。今では当然プレミアが付いてる。どういうわけか4年前に韓国EMIから再発されて慌てて買ったが、やっぱりそれっきり消えた。
オリジナルレコードのままSACDで出す話もあったようだが出てない。
今回やっと出て『伝説』持ってるのに舞い上がって買ったんだが、冷静になってみるとおかしい。オリジナルはモノラルらしいが『伝説』同様ステレオ。ボーナストラックにジョアンじゃない人が入ってる。これでジョアンは納得してんのか。
『伝説』のときも(たぶん)今回も、本人がイヤがってるものを浮かれて慌てて買ってんのはどうなんだってのはあるけど、ちゃんとしたのを買えないんだからしょうがないじゃんね。
タイトル曲、邦題『想いあふれて』は、ボーナストラックにエリゼッチ・カルドーゾのバージョンも入ってる。これはボサノバ0号だそうだ。アントニオ・カルロス・ジョビンの曲、ヴィニシウス・ジ・モラエスの詞、そしてジョアンのギターでできた、ボサノバ。でもエリゼッチの歌唱スタイルがボサノバじゃない。なので0号。
このレコードが評判になって、翌年ジョアン自身が歌うレコードが吹き込まれた。ボサノバ1号。
エリゼッチのバージョン聴いたことなかったから、これも目当てだったけど、いいですな。確かに古い歌い方だけど、古いからダメってことはなく、違った楽しさがある。
歴史的意義だけじゃなく、いいんですよ、このアルバム。ボサノバは本質的にオシャレな音楽だけど、ジョアンのオシャレはキリキリと味が深いの。で、やっぱ初期の作品は瑞々しいっていうかね。渋すぎたり凝りすぎたりもなくてバランスがいい。発売経緯に謎はあるが、聴けるとき聴いとかなきゃ!