中春こまわり君

山上たつひこ『中春こまわり君』 読んだ。
 小中学生の頃『がきデカ』に大喜びし、’90年頃再開された『がきデカ ファイナル』が大好きな俺としては、読み始めてまず、ギャグにキレがないことにがっかりした。こまわり君も老いたが、それ以前に作者が老いたと思っていったん本を置いた(俺もキレがない)。けども読み進めてみると、ギャグはともかくマンガは面白い。
 バカボンパパは中身が小学生のおっさんで、こまわりは中身がおっさんの小学生。どっちも同じことで、この立場が最強。
 今回のこまわりは、ときどき昔ながらのギャグをかます以外は極めてまともなキャラになってる。むしろ周りのキャラがおかしい。話を俯瞰する立場にいる。社会人として父として、役割を背負ったこまわりにギャグの破壊力を期待するのはムリだろう。けど、そこから描ける大人の話がある。
 ’87年頃の『主婦の生活』がこれまた大好きな俺としては、この人ならではの機微のある話が楽しめて面白かった。小説家に転向する前の山上たつひこは絵的にも話的にも凄い良くって、そこからの衰えはまるで感じない。マンガ描くのしんどくて小説家になったのかもしんないけど、もっとマンガ描いてほしい。

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