ローソンPBのデザインがこじゃれててわかりにくいと不評だ。俺も実際店頭で見てなんだこれと思った。「客の立場から」文句を言うのは全然いい。逆に絶賛したければしてもいい。
しかし我々はコンビニの運営に関わっていないし、デザイナーでもない。その道のプロではない。
プロはそれを成し遂げるノウハウを持っている。経験の蓄積がある。実際にメシを食っている。
そのプロに対して「作り手・送り手の立場から」文句を言うのはまるで意味がない。「あなたはこうすべきだった」とか、「わたしならこうする」とかだ。
立場を逆にして考えてみればいい。自分はなにか仕事をしている。その仕事をまったくしたことがない人からの、作り手の側に立ったアドバイスに、耳を傾ける気になるか。「じゃあ、お前がやってみろよ」で終わりだ。
今回のローソンに関して、仮に失敗だったとしても、マーケティングについて、ただの客の俺よりもローソンの人間の方がはるかに詳しいし、デザインに関しても俺より佐藤氏の方がはるかに詳しい。知識があるだけじゃなく、かたちにする力がある。どちらに関しても向こうがプロ、こちらは素人、当たり前だ。
作り手・送り手は、作り出し、送り出すための手段を知っている。しかし受け手ではない。受け手がどう捕らえるか、経験上ある程度予測がついても、完全にはわからない。受け手の立場に立って考えてるつもりでもバイアスがかかったり、自分の趣味が出てしまったりする。「客の立場から」の意見は貴重だ。だから雑誌にアンケートハガキが付いている。我々が言うべきことは、「作り手の立場に立った客観的な」意見なんかじゃなく、個々の受け手の意見だ。「俺は、客のひとりとして、こう受け止めた」ということだ。
これは何に対しても同じだ。