■井浦秀夫『少年の国』読んだ。文庫版、全2巻。「オウム真理教事件を、発生の3年前に予言した著者渾身のネオ宗教ミステリー!!」とオビで謳ってて、興味持って買ったんだけども、別に予言はしてないような。マンガの方では凄い事件は起きない。オリジナルの1巻が’92年初版だそうで、ウィキペディア見ると参院選立候補が’90年だし、むしろオウムにインスパイアされたマンガなんだろう。
謳い文句はともかく、面白かった。宗教の扱いが凄く丁寧。
作中に出てくる宗教団体が訴えるのは、基本的に環境保護。自分勝手な考えを捨てて、豊かさを求めるのはたいがいにしようと。薄めればロハス。それほど突飛じゃないぶんリアリティーがある。
そんで、彼らの正義感・使命感のあり方、理論とそれを説明するための例え話、批判への対処方もリアル。閉塞した集団独特の変な理屈ではあるが、なにかしら派閥ってのは似たようなことになったりする。職場とか、クラブ活動とか、もっと薄めれば特定の趣味や利害を共有する人たちとか。グラデーションを間に置けば、そういうのと地続きになるように描かれてる。閉鎖的な集団の異常性は描くが「彼らだけが特別に異常で、自分たちは違う」という切り方はしない。
オチがまた凄く真面目で。ネタバレは避けるけども。当時、こんなに真面目に宗教を扱ったマンガがあったんだな。
絵が普通っていうか、あんまり上手くなかったりして、演出ももっと盛り上げられるんじゃないか、もったいないなと思ったりするんだけど、扇情的になっちゃうとダメなんだろうな。淡々と、ちょっと気が抜けてるくらいがいいのかもしれない。
■kashmir『○本の住人』1巻。オタな4コマ。贅沢なまでにいちいち面白い。電車で読んでて笑っちゃってちょっとピンチに。