カテゴリー: 書籍

  • 俺は本屋が好きなのに本屋は俺に優しくない件について

     『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』買った。
     言うまでもなく重要な本じゃないですか。アマゾンでも上位に入ってる。なのに本屋数件回って売ってない。結局渋谷のブックファーストで買った。
     『電波男』も出てすぐ探したけど売ってなかった。これも渋谷のブックファーストで買った。
     まあ、どっちもネットに需要が偏ってる本ではあるけども、売ってないってのは温度差ありすぎないか? グラビア出まくってるのにテレビに出ない川村ゆきえくらいの不均衡じゃないか?
     んで『電波男』、今は売ってるの。
     『夕凪の街 桜の国』もさ。ウチの近所にはそれなりにマンガに力入れてる大きめの本屋が2件あって、小さいとはいえビレッジバンガードもあるんですよ。なのに、なかった。これも渋谷のブックファーストで買った。いや、ブックファーストの宣伝してるわけじゃないけど。一番近い大型店がそこなだけで。
     今は近所に売ってる。平積みで。賞取ったから。
     受賞をきっかけに売れるのはいいことだけど、本屋に対してはなんだかなーと思うわけで。
     今月の『BUBUKA』に吾妻ひでおのインタビューが載ってる。

    吾妻 『失踪日記』はコアマガジンから出せなかったね。まずその話からしようか?(笑)
    ——そうですねぇ……(苦笑)
    吾妻 上層部から承認されなかったってことは、俺の評判って最悪なんだな(笑)
    ——しかし、売れてますよね。大きい本屋じゃ平積みですから。

     『失踪日記』の半分くらいは『お宝ワイドショー』での連載。だから白夜系から出るのかなーと思ってたら、イースト・プレスだった。上が止めたんですな。面白いかどうか読んでも判断できず、データとして吾妻ひでおじゃ売れないと。
     まあねえ。いろいろしんどいとは思うけど。もうちょっとなあ。いいものは推してくれよ。

     『いきなりはじめる浄土真宗』なんか大型書店にもないんでアマゾンで注文しましたよ。これと一緒に。
     関係ないけどホーム&キッチン部門で鼻毛カッターがずっと1位なのはなぜ?

  • 内田樹 名越康文『14歳の子を持つ親たちへ』

     親の方がヤバい、とか、子どものことなんてわかるわけない、とか、簡単に答を出そうとするな、とか。内田樹の本の中で一番わかりやすいのでは。
     コミュニケーションとはどういうものか話している、その対話自体が実践例になってたりする。

  • 本田透『電波男』

    %u96FB%u6CE2%u7537  買う前は基本的に冗談が書いてあると思ってて、そのわりには分厚いな、大丈夫かな、不毛じゃないかなと若干不安だったんだけど、面白かった。ギャグじゃないって言っちゃうとアレだけど、真面目に面白かった。
     欄外の脚注(の書き出し)を引用。

    ※デヴィッド・シルヴィアン
    ミュージシャン。イケメン音楽家・引きこもり派。
    ※モリッシー
    イギリスのミュージシャン。キモメン音楽家・引きこもり派。

     こんな解説見たことない。イケメン/キモメン、二次元=妄想=作品世界とした上で、二次元/三次元に分類すれば見えてくるものがあるんだなあと。
     
     俺も電車男は「エルメス」ってコードネームでもう興味持てなかったクチで。俺に関係ない話だわと。オタがオタを治して彼女できてハッピーエンドって、どこがいい話やねんと。ヤな話だなあと。「モテ」ってのは間違い探しかと。正常になればいいのかと。読んでないから知らずに言ってますけども。
     一方で「モテ」ってのはコミュニケーションの問題なんでしょうな。俺はモテない以前に友達少ないけども、それはコミュニケーションに問題あるからで。自分が寂しいだけならいいが、人に害があるんで治さなきゃいけない。言うてもこうなった積み重ねがあるからそうそう治らんのだが。
     妄想世界に行ったまんまってのも、それはそれでいい話と思えない。『下妻物語』の桃子は、周囲から浮いてて、この世界にいなくて、地に足が着いてない。それをイチゴが地面に降ろす。文字通り地面に降ろすシーンが2回出てきて、そのひとつが冒頭の生死の分かれ目。俺はこういうのを「ええ話や」と思ってしまうんで。永野のりこも柏木ハルコも、変な人間が変なまんま、なんとかなる話を書いてて好きだ。まあ、これらも二次元なわけですが。
     
     女は男を常に査定しててキモメンは差別されるってのがこの本の前提だけど、女から見れば逆じゃないかとも思った。一般に、女性の方が容姿を問われることが多いのでは。
     一般に女性の売り手市場だとは思うんだけど、逆の部分もあって、男と女、どういう状況でどっちが「売り」に回るのかとか、結構いろいろ根の深い話な気がする。
     あー、何言ってんのかわからんな。具体的に書くと変なことになっちゃうんだけど、例えばサービスを提供する側なのはどっちか、とか。ゲットするまでは一般に男がサービスする側で。商売としては逆に男がサービスを受ける側、買う側、払う側で。これはセットなんだろうな、とか。つまり「商売女に金使わないで私にサービスしなさいよ」は矛盾してるのかもしれず。
     これが男女逆になる場合、まったく反転した状態にならないとしたら、そのならない部分にねじれがあるのかもなとか。あー、やっぱり何言ってんのかわからんな。
     あと『赤灯えれじい』は大雑把には昔の少女マンガの逆パターンだなあとか。地味で取り柄のない男と、不良っぽくて美形の女のカップル。これがとてもしっくり来るのはどういうことだろうとか。
     今日本屋で『マザコン男は買いである』って本出てるの見たけど、これは男売ってるな、とか。
     この話にオチはないけども。
     
     読んでる間自分を振り返ったり、『すげこま』読み返したり、『タクシードライバー』観直したり、いろいろ考えさせられた。

  • 高橋秀実『トラウマの国』

    トラウマの国  『からくり民主主義』が面白かったので購入。『R25』の巻末でもコラム書いてますな。
     変なことになってるとこ(と言うと怒られそうだが)のルポ。トラウマのグループセラピー、地域通貨、セックスのハウトゥー本、共産党とか取り上げてる。『からくり』ほどのインパクトはなかったけど、これまたオモロい。
     『からくり』同様、「どういうことになってるかわからないから聞きに行く」というスタイルで、あらかじめ答を用意して特定の視点から書いたりはしてない(一応は)。だから読んで腑に落ちて問題が片づいた気にはならない。世の中にはこういう人もいるんだ、ってのがそのまま残る。
     でも、この人の「わからない」という、とぼけ具合も、結構意地が悪いと思う。逆に言うと、面白く書こうとすると意地悪になりがちなのに、この人はとぼけ具合で嫌味になるのを回避してて、上手い。なんてことを考えてしまう俺は底意地が悪いんだが、それだけに「意地悪を回避するとぼけ具合」って技に興味を持ってしまう。