ブックオフ自由が丘店

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『ヴィンランド・サガ』3巻が最寄りの本屋になかったんで、自由が丘の青山ブックセンターへ。マンガ売り場が縮小されて探しにくい。近所のマンガ事情がまた悪くなった。『えの素トリビュート』も購入。
 青ブックの向かいにブックオフができた。なかなか凄い取り合わせ。土地柄を意識して若干おしゃれ。2階の1角がカフェスペースになってる。ブックオフに、カフェ。ムチャするなあ。
 カレーうどん専門店で夕食。ヴィンランド・サガはゆっくり1巻から読み直したいんで、えの素を読み始めるが、カレーうどんとのマリアージュがあまりにも奇跡的で。
 
■スピリッツの読み切り、相原実貴『月曜日が待ち遠しい』。チープな妄想マンガで、まあそれ自体は別にいいんだけども、スピリッツに載せる意味がわからん。妄想じゃなくスピリッツ向けに狙って描いてるとすれば、なおのことわからん。女性読者開拓?
 痴漢したら相手に惚れられて、「あなたの犬でいいです」って言うからそいつをペットとして飼うことになって、しかもそれが相手を救ったことになってて、みたいな。女が痴漢で、犬は男なんだが。女は外資系でヤリ手っぽく、男はオタで引きこもりでダサいが、いい大学で見た目も「基本は悪くない」なんだが。いやあ、ここまで調子いいとなあ。あからさまに電車男だしなあ。これ、男女逆にして女性誌に載せたらどう思われるのか。案外ウケるのか?
 
吾妻ひでお『便利屋みみちゃん』1巻。後ろに載ってる『あづま童話』の方が断然面白いんだが、こっちを続けるわけにはいかんかったんだろうか。

『少年の国』

少年の国 MYSTERY OF NEW RELIGION (1)井浦秀夫『少年の国』読んだ。文庫版、全2巻。「オウム真理教事件を、発生の3年前に予言した著者渾身のネオ宗教ミステリー!!」とオビで謳ってて、興味持って買ったんだけども、別に予言はしてないような。マンガの方では凄い事件は起きない。オリジナルの1巻が’92年初版だそうで、ウィキペディア見ると参院選立候補が’90年だし、むしろオウムにインスパイアされたマンガなんだろう。
 謳い文句はともかく、面白かった。宗教の扱いが凄く丁寧。
 作中に出てくる宗教団体が訴えるのは、基本的に環境保護。自分勝手な考えを捨てて、豊かさを求めるのはたいがいにしようと。薄めればロハス。それほど突飛じゃないぶんリアリティーがある。
 そんで、彼らの正義感・使命感のあり方、理論とそれを説明するための例え話、批判への対処方もリアル。閉塞した集団独特の変な理屈ではあるが、なにかしら派閥ってのは似たようなことになったりする。職場とか、クラブ活動とか、もっと薄めれば特定の趣味や利害を共有する人たちとか。グラデーションを間に置けば、そういうのと地続きになるように描かれてる。閉鎖的な集団の異常性は描くが「彼らだけが特別に異常で、自分たちは違う」という切り方はしない。
 オチがまた凄く真面目で。ネタバレは避けるけども。当時、こんなに真面目に宗教を扱ったマンガがあったんだな。
 絵が普通っていうか、あんまり上手くなかったりして、演出ももっと盛り上げられるんじゃないか、もったいないなと思ったりするんだけど、扇情的になっちゃうとダメなんだろうな。淡々と、ちょっと気が抜けてるくらいがいいのかもしれない。
 
kashmir『○本の住人』1巻。オタな4コマ。贅沢なまでにいちいち面白い。電車で読んでて笑っちゃってちょっとピンチに。

世界の孫

世界の孫 1 (1)SABE『世界の孫』1巻
 妹キャラを超える孫キャラ。今のところ通しのストーリーはないっぽい。キャラで押すぶん、これまでの作品よりキャッチーかも。
 絵が上手いのが変な感じ。普通、上手い絵、上手い表現は、表現する内容のための手段だが、内容つっても変なキャラが変なことやってるだけのマンガだし。ジャケの絵も凄い良くて、良い分だけ変な感じ。いやもちろん、変で面白いです。
 
鈴木先生 1 (1)武富健治『鈴木先生』1巻
 評判いいみたいなんで買ってみた。面白かった。教師が合コンで知り合った人と付き合ってるって時点で、ちょっと違うなって感じがする。等身大っていうか。扱ってる問題が細かい。問題の扱い方も細かい。「デリケートなことだからさ」。小川蘇美は今後も悩ましい存在であってほしいな。
 表情とか構図とか変に大げさなとこは、ちょっと昔のマンガっぽい。
 
橋本治『失楽園の向こう側』
 ’00〜’03年にビッグコミックスペリオールに連載されたエッセイ。見かけて、内容も確認せずに買ったが、これまた面白かった。特に前半。

ヒミズとシガテラ

■マンガ喫茶で古谷実『ヒミズ』『シガテラ』読んだ。
 『ヒミズ』は「なるようにしかならない」で、『シガテラ』は「なるようになる」、みたいな話だった。シガテラのラストは地味っちゃ地味だけど、こうでしかないんだろう。
 シガテラには明るいノリもある。不幸の予感はあるものの、決定的にマズいことにはならない。一応ハッピーエンドで終わる。けどもどっかで、ヒミズみたいな方向に、なるようになってしまう可能性はあった。ただこの話はこう終わるように描かれたということかもしれず、だから後味は良くない。
 
 どっちも人殺しが身近にある。
 ヒミズでは主人公が人を殺してる。殺すには理由があったし、殺したことで話が進んで、オチもある。だからこの殺しについては、わりとすっきりする。全編シリアスでしんどい話だが、こういうのには慣れている。けど友人の方は単なる強盗殺人で、発覚しないままうやむやになってる。これは気持ち悪い。
 
 人を殺しちゃって、でも発覚してなくて、不安やら罪悪感やらに悩まされる夢を見たことがある。
 よく見る夢がある。気がつくとなぜかパジャマで外出していて、バツの悪い思いをする夢。誰もパジャマについて何も言わない。なんかバレてないっぽい。でも俺は自分がパジャマだと知ってるから、おどおどしてる。早急に着替えなきゃいけないが、どうしよう。
 普段あまり意識しないが抱えてる、「俺はみっともない」っていう不安みたいなものが、なんのヒネリもなく夢になって何度も出てくる。パジャマなんて持ってないのに。
 そんで人殺しのあとの変な気持ちと、パジャマのバツの悪さが、よく似てる。
 
 「あのヤロー殺してやる!」とか思って、頭の中でシミュレーションが展開することはある。実行には移さないが、頭の中では起きている。
 犯罪はともかく、悪いことを実際にやってたりもする。「あの時、あの人に悪いことした」とか。恥ずかしい失敗も含めて、過去にバツの悪いことがたくさんある。
 子どもの頃は親から禁止されてることがたくさんあった。ダメだっていうのにやっちゃったりした。バレないとバツの悪い秘密になる。いいことか悪いことか判断が付かないけど、いけないんじゃないかと思って秘密にしていることもある。自分からしたんじゃなく、いけないことに出くわすこともある。子どもの頃の記憶は、そのうち夢だかなんだかわからないぐちゃぐちゃになって、バツの悪い思いが奥の方に沈んでいく。
 なにかおかしなことになって、分別ある大人であるはずの俺が、夢だか現実だか分からない境目で、大人にふさわしい規模の大変なことをしでかしちゃうんじゃないかっていう不安がある。いや、普段そんな不安は抱えてないけど。そういうお話があれば、いくらかキャッチーでリアリティーのある話だと思う程度にはある、ということで。酔うと記憶なくすし。
 
 シガテラの人殺しは、主人公と距離のあるところで起きてて、はっきり描かれてもいない。主人公自身は普通の人だから、自分じゃ異常なことをしてない。最後の方でアートみたいなことをやりかけても、結局失敗してる。
 でもバツの悪いことはやってる。小っこいけども、浮気だとか、携帯で撮った彼女のマンコとか。彼女の方もみっともない浮気みたいなことをしてる。
 とりわけ後味が悪いのが、友人が主人公の彼女に薬を飲ませてレイプしようとする話。きっかけは主人公が撮った携帯のマンコ画像を、友人が偶然見てしまうこと。バツの悪い秘密が外に漏れる。友人はいいヤツで、悪いヤツからレイプの話を持ちかけられたとき一度は怒ってる。彼はそんなことするヤツじゃない。なのに踏み切ってしまう。境目を超える。彼女の方は薬で眠ってる。現実が分からない状態にある。結局彼は踏みとどまるが、共犯者の方は見てないところで続けようとする。で、その結果がはっきり描かれない。姦られてないと解釈するべきかもしれないが、曖昧さが気持ち悪い。境目の上でむにゃむにゃしたまま、もの凄いバツの悪さを抱えて、このエピソードはさっくり終わってしまう。
 いいヤツである友人は見た目も良くて、レイプを持ちかけたそのまた友人は見た目からしてゲスに描かれてる。これは一人だったりするのかもしれない。よくある人の中の天使と悪魔みたいな。
 
 ヒミズの主人公は自分の不幸を人殺しとしてかたちにするが、シガテラの主人公は「人を不幸にする」存在ということになってる。バツの悪いものが、外に沈んでいく。外も主人公の世界。
 シガテラの人殺しは、いじめっ子がキチガイを殺すというもの。いじめっ子は悪いヤツでバカで嫌われ者だが、結構かっこいい。身に降りかかる不幸を文句も言わずに引き受ける。ヒミズの主人公に近い。こいつが殺したおかげで、キチガイを連れてきたいじめられっ子は、やっかいごとから逃れられた。シガテラの主人公は、このいじめっ子に対し「お前とは関係ない」と叫び続けることで、ヒミズの主人公が望んでも得られなかった普通の生活を手に入れる(だからシガテラの主人公は普通以上に幸せであってはならず、地味なラストに落ち着く)。
 単純には「いじめられっこが危ない目にもあったりしたけど可愛い彼女のおかけでちゃんと大人になった」って話だが、「バツの悪いものは外に捨てて大人になりました」でもあるのかな。最後にドカティ欲しいって言うのは、若い頃の毒を取り戻すってことだが、矮小にも思える。なんにせよ、「いい話」にはなりようがない。
 面白かったけども、それは自分の不安と同調する部分があるからで、俺の場合こういう種類のリアルに向き合うのはよろしくない感じがする。作者は大丈夫なのかな。

パーマネント野ばら

パーマネント野ばら西原理恵子『パーマネント野ばら』
 これは凄い。「凄い」ってのもなんか違うな。まあ、言葉がないっすね。良い作品に対しては、良いとしか言えないことが多いな。
 
■ちなみに、書評みたいなことには全然モチベーションが湧かない。まず、内容の紹介がめんどくさい。それに内容書いちゃうと、読んでる人がそれで済ましてしまうことも考えられる。いい本ほど、それじゃイヤだ。
 マンガの場合、読んだ方が早い。値段が安いものが多いし、すぐ読めちゃう。コストがかからない。レビュー見てじっくり検討する必要性が薄い。そんで、いくら面白いと言われても絵柄でダメな場合もあるから、見てみないとわかんないし、見ちゃえば読むのも早い。青ブックとかなら立ち読みで1冊読めたりする。
 『失踪日記』とか『刑務所の中』とか、「こういう内容の本です」と説明されれば即、読みたくなるものなら、存在を伝える情報は有用だけど。
 俺の場合は「あの人とこの人が褒めてたから読んでみよう」みたいな買い方をする。どういう褒め方をしてたかも重要だけど、副次的な要素かもしれない。信頼できる人が褒めてさえすればいい。だから自分でもレビューをやる気がしない。
 一般に批評と呼ばれてるものは、3種類に分けられると思う。お買い物ガイドと、解説と、それ以外。俺は「それ以外」にしかモチベーションがない。で、それはたまにしか書けない。書けないときは「凄い」とか「面白い」だけ言っとけばいいと思ってる。
 
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 うーん。似てるような、似てないような。

サルまん

サルまん 21世紀愛蔵版 上巻サルまん買った。出るたび買ってる。今回は決定版っぽくもあり、たけくまメモ読んでるとなんだか買わずにいられない感じもあった。
 これ自体マンガでもあるが、マンガについて書かれた本として飛び抜けて面白い。
 サルまん絡みで大泉実成が「綾波燃え〜」って叫ぶ写真マンガみたいのなかったっけ? スピリッツに載った当時「“もえ”の字が違う」と思ってた記憶が。セリフ変えて載せてるのかな。あいまいな記憶じゃ、前の版が出たあとにスピリッツに載ったような? そうならあれも載っけてほしかった。