俺様の懐の狭さ

amazonこうの史代『さんさん録』1巻読んだ。
 『長い道』は、全然わかんなかった。なんでこんな話を、どんな気持ちで、女の人が描いたのか。ネットで感想見て、「いい話」とか言ってる人がいたからちょっとびっくりした。
 なるほど作者は「いい話」のつもりで描いたのかもしれない。でも、少なくとも男はこれをいい話と思っちゃいかんだろう。『Theかぼちゃワイン』のエルが理想じゃいけないのと同様に。いい話というより痛い。まさにこんな風に俺も身勝手だから。設定はともかく、感情はリアルなマンガだが、そのリアルさが怖い。
 『さんさん録』も基本的に同じ路線のマンガだと思う。こっちは普通に面白かったが、やっぱりちょっと怖い。死んだ奥さんの愛情を、男の俺は素直に受け入れちゃいけない気がする。「受け入れていんですよ」と言われれば、その超絶ぶりがやっぱり怖い。俺もまともに家事できないから、俺にとってもマニュアルになったりするのだが、そういうのを暖かい目で見られてるのって怖いでしょ?
 
作:久住昌之 画:谷口ジロー『散歩もの』、散歩中の気持ちの流れがリアル。同じコンビの『孤独のグルメ』と同じまったり感。

B5中綴じ

竹熊さんが初めてやったインタビューは戸川純っての読んで、「あら? それ、持ってたっけ?」と本棚漁ったら、ウチにあるのはこれだった。
 
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 竹熊さんじゃなく、中森明夫でした。
 
■そんで、この本の隣にあったのがこれ。
 
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 京都のタウン誌だった『ペリカンクラブ』が俺が上京するのと同時期(’85年)、全国誌にリニューアル、『スーパー・ペリカンクラブ』になった。「東京行っても読めるな」と喜んでたんだけど、3号で休刊になってしまった。
 
 凄い久しぶりに見てちょっと驚いたんだけど、2号目に載ってるこのマンガ、ホント異色作だな(右の画像、クリックで拡大します)。杉浦茂が交合を描いてる。しかも、このあと結構エグい展開になる。初出は’70年の『黒の手帖』らしい。これ、単行化されてんのかな。
 
 マンガはほかに、ひさうちみちお、根本敬、花輪和一、太田蛍一なんかが載ってますね。音楽だと、取り上げるのはニュー・ウェイブで。ノイバウテンとか、エイリアン・セックス・フィーンドとか、アート・リンゼイとか。
 それまで取り上げられなかったマイナーな恐怖マンガを紹介してたのも面白かった。ムロタニツネ象『地獄くん』を知ったのもペリカンだった。
 オリジナルの蛭子能収Tシャツを編集部に直接買いに行ったこともある。つボイさんのカセットブックを出したのもここだった。いろいろ好きだったんだけどなあ。
 
■そのまた隣にあったのはこれ。
 
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 いよいよオウムもおしまいだなってときに、サティアン渋谷に買いに行った。最初オウムが出てきたとき面白いなと思ったんだよね。自分では特定の新興宗教に入ることはないんだけど、何かしらシンパシーはあって、結構真面目な気持ちで、何かのケリを付けるつけるつもりでスーブニールを買いに行った。
 ホリエモンもなんつーか。自分とは何の共通点もないんだけど、何かしら好感のようなものは抱いてて、自分でもちょっと意外なくらい最近のニュース気になってたりして。ああ、俺は“騙されやすい大衆”なんだなあと思った。オルタネイティブな感じで出てきて、新旧の対立みたいな構図になると、俺はあっさり新の方に肩入れしちゃうんだなあと。

僕の小規模な失敗

amazonプラネテス好きなのに『ヴィンランド・サガ』2巻まで出てるの気付かんかった。読んでみて納得。地味だ。マンガ事情が悪いウチの近所では目立つところに置かれなかったんだろう。
 「少年誌でやらない方がいいんじゃないの?」と思ったら、案の定2巻の帯に「アフタヌーンへ移籍」とある。もしかして版型変えて出し直しか? いっそ3巻出るまで買わない方がよかったか?
 
福満しげゆき『僕の小規模な失敗』、何度も読んでしまう。感想書くとネタバレになっちゃうから控えるけども、高校入学から現在までの作者本人の話。この人のマンガは自虐ネタで、自虐ネタはネタにした時点でひとつ充足しちゃうわけだから、ぬるいっちゃーぬるいと思ってたんだけど、実話となるとぬるいとか言ってられない。そんで、全然人ごとじゃない。
 
■橋本治『乱世を生きる』は、意見ってのは勝ち組のものしか通らない、みたいなところから始まってる。常々、「成功するに越したことないけど、別にしなくてもいい。失敗しなきゃいい」と思ってて、「でも成功してない人間がこんなこと言っても誰も聞かないよなあ」とも思ってた。一方で成功した人間が「成功しなくていい」と言ったところでどうなんだってのもあるけど。
 俺は現時点で結構失敗が確定してて、このままじゃ持続できない感じがする。できないことをやらないようにした上で、何が残ってるのか掘り出さなきゃいけない。サンヨーは家電から撤退して電池に専念するわけだが、俺の電池に当たるものはあるのか、ということで。
 凄い細かいことで言うと、新譜はあんまり追っかけないようにするとか。さらにしょうもないことだと、ネットだと別に成功してない人の話も聞くじゃないすか。知らない人の日記読むし。それはいいんだけど、「有名サイトは押さえとかないと流れに乗れないな」みたいのもあって、こういうのもよくないなと。いろんな意味で拡大する方向で来てたから、縮小するというのはどうにも馴染めんのだが、まあ拡大、拡大で来るのがおかしいって話だよな。って何言ってるだろうな。これ、通じる話ですかね。

心霊写真

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 よーく見ると左右まん中、上から1/4あたりに顔が浮かんでまして。これはこの現場で事故死した作業員とかじゃなくて俺なんだけどね。車のガラス越しに撮ったから写り込んでる。レタッチで暗部を持ち上げると凄え怖い。俺、こわー。
 
amazon■UA、結局買った。面白いことしてそうだから興味あったけど、ちゃんと聴くのは初めて。
 思ったよりJポップだなーと思った。で、最初の印象はあんまり良くなかったんだけど、2回目からは楽しんで聴けるようになった。
 目当ての『A Felicidade』はCMだとアカペラでストレートに歌ってる印象があったんだけど、半野喜弘のバックでくねくね歌ってる。これはこれでかなり面白いっす。あと、『トンネルぬけて』って曲がいい。原曲はボ・ガンボスだそうな。テイ・トウワの『Last century modern』はボーカルがUAに変わっただけで、だからどうなんだ、って感じ。
 
井上雄彦『リアル』5巻を買ったが、前の巻から読み返さないとわけわからんし、今忙しいので置いてある。そのくせなぜかSABE『地獄組の女』を全巻読み返してしまった。

モロ☆

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amazon諸星大二郎『魔障ヶ岳 妖怪ハンター』読んだ。『諸怪志異』シリーズは正味、面白くないですね。けど『魔障ヶ岳 』はかなり面白いと思うのですがどうでしょう? 俺は面白かったが、みんなが面白いか謎。これが初めて読む諸星大二郎って人はどう思うのか。今は今の魅力があるけど、昔はもっと面白かったって感じがあるからな諸星大二郎は。今の方が話が凝ってるけども、昔みたいに雑でもダイナミックに飛ばしてほしいという気もする。この人のマンガはこの人にしか描けないものだから、つまんなくても出たら買うんだけどね。
 
■定例の仕事がどっさりあって、本当にどっさりあるまとまった仕事にかかれない。これからしんどくなりそうだと思うと、しんどくなる前からしんどくなって、仕事が進まなくて余計しんどくなる。バカみたいだがそういうもんなんだろう。人間だもの。あめぞうに「どっさり紙」って人がいたなとか思い出した。

Don’t trust over なんちゃら

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amazon石川雅之『もやしもん』1巻買った。「貧弱な坊や」と呼ばれる主人公が綴る郷土色豊かなヒューマンドラマみたいなタイトルだが、実際は現代東京の農大物語。正直、このタイトルはよろしくない気がする。主人公は菌が見える特殊能力を持つ。
 カメ水槽の濾過で硝化菌、掌蹠膿疱症がらみで腸内細菌のことちょっと調べたんで、菌には親近感がある。1巻の方が専門的で面白い。2巻はキャンパスライフに寄ってるんでノリきれない部分もある。こないだ西川魯介『野蛮の園』3巻読んだときも思ったが、学生生活って内輪ネタだし、大学とかだと変な人間いたって当たり前だし、若さゆえのあれこれをあんまり肯定されてもなー、みたいな。
 
amazon■気が付いたら湯川潮音を一番聴いてる。
 最初聴いたとき、実家の自分の部屋に連れ戻される感じがした。実家にいた頃、つまり若い頃にはなんか、もの寂しさがあった。年食ってからだって寂しいこともあるし不安もあるっていうか、若いときより具体的で深刻な不安があったりする。解決した問題もあるが、新たな問題もある。正味、中年の俺様が抱える行き詰まりは若者の自意識過剰に発するそれを遙かに凌駕する最強に強まったどこに出しても恥ずかしくない醸し具合のぐちゃぐちゃどろどろであると胸を張って言える。だけどなぜか、もの寂しさを感じることはなくなった。
 『逆上がりの国』最初の曲、『3:15』を聴いたとき、忘れてたもの寂しさが、わーっと蘇ってきた。かつて自分がいた場所に帰ってきた。まあ、そこに帰るのはいいことじゃないかもしれんけども。
 詞の意味はよくわからんのだが、声がそっちに引っ張り込む。バックはストレートな、いわゆる良質なポップなのがちょいと面白みにかけ不満ではある。アート・リンゼイのプロデュースは合うと思うんだけど、無理な望みだろうなあ。
 
スタ☆メン面白いな。
 
■トピックごとにエントリー分けるのやめたら書くのが楽になった。

半蔵門線

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 カラーコーディネイト
 
■モスバーガーで荒木飛呂彦『スティール・ボール・ラン』6巻を読んでたが、後ろの席がうるさくなってきて公園へ逃げる。何回見ても爪が回る能力に馴染めん。気持ち悪いです。やっぱりこの人はアタマおかしいと思う。爬虫類化した人間の動きは、カメ飼いから見て大変リアルだった。
 公園に石川雅之『もやしもん』2巻が落ちてた。面白いな。1巻買おう。
 
EXTENDED MS IN ACTIONのザク買った。汚し塗装が入ったりモノアイが動くようになってたりがエクステンデッド。誰がここまでしろと言ったんだ。過剰さに愛を感じる。
 ザクはやられメカであり、ロボットアニメ初の軍事行動する量産兵器であり、ストーム・トルーパーであり、ドイツ兵であり、バーバリアンであり、鬼であり、もろもろのイメージがシンプルに結実して素晴らしすぎる。んで、このオモチャも素晴らしすぎる。適度な大きさ値段で、このプレイバリューとディティール。数あるザクの中でも細すぎず太すぎずの塩梅いいフォルム。組み立てて色塗らなくていいらくちん加減。全くいい時代になった。世の中は進歩してるんですよやっぱり。
 
■マカロニサラダのキュウリの代わりにゴーヤーを入れて食い中。うまし。