カテゴリー: 音楽

  • 俺の音楽の聴き方の偏屈さ

     音楽の聴き始めはYMOだった。YMOの次にはYMO周辺の音楽を聴きだす。ニューウェイブですね。ガイドになったのはFMでやってた坂本龍一のサウンドストリート。
     大阪のベッドタウンに住んでいたので、輸入盤屋というのは少し遠い存在だった。そんななかでも輸入盤に触れる機会をくれたのが新星堂だった。クレプスキュールなどの輸入盤を細野さんたちの推薦文付で売ってたりしてた。
     あと茨木市駅前に『親指ピアノ』というレンタルレコード屋があって、郊外の店なのにニューウェイブをガンガン入れててありがたかった。
     こと音楽に関していえば、’80年代は’78年頃から始まっている。YMOの1st.だって’78年だし。区切りがこの辺にある。
     ワイヤーは「ロックでなければなんでもいい」と言った。ニューウェイブの文脈の一部では、ロックはかっこ悪いものだった。
     ニューウェイブはなんでもありだった。なんでもありだから、なんでもあったけど、全体としては音楽に対する取り組みがあった。既存のスタイルに疑いを持って、なんか新しいことをしようとしていた。その結果できたものが、演奏技術や構成が未熟で、今となってはつまらないものだったとしても。
     
     ’70年代末にはもうひとつ動きがあった。ヒップホップだ。ラップというスタイルが出てきた。歌わない。ただしゃべってるだけではなくリズムに乗せてはいるが、歌が持つ力を捨てていた。ここで、「じゃあ歌ってなに?」って疑問が出てくる。朗々と歌い上げるスタイルが、テクニカルなギターのように、型にはまったうさん臭いものに感じてくる。歌というものをもう一度考え直させるものがあった。
     
     若い内は自意識過剰なので、アーティストの自意識過剰にも共鳴できた。が、年を取るにつれどうでもよくなる。それで興味は「俺の歌」じゃなく、コミュニティーの歌、「みんなの歌」へ向かう。一例が古いサンバだったり。サンバ大好き。
     新曲でなくていい。いい曲は何人が何度やってもいい。サンディーが歌謡曲を、細野さんが古いR&Bなんかをカバーしたりするのは良いと思うし楽しい。
     
     こんなふうに音楽を聴いてきたので、未だに音楽には「取り組み」を求めてしまう。そして俺にはロックの素養がない。単にキャッチーな曲、オシャレな曲にも反感を持つ。「いい歌」に対して身構える。
     どこかで聴いたような「新しい俺の歌」はいらない。
  • なんとなくベストアルバム10を選んでみた

    1)Chega de Saudade/João Gilberto/’59
    2)泰安洋行/細野晴臣/’76
    3)Encontro Com A Velha Guarda (すばらしきサンバの仲間たち)/V.A./’76
    4)Yellow Magic Orchestra/Y.M.O./’78
    5)Cupid & Psyche 85/Scritti Politti/’85
    6)Mercy/Sandii/’90
    7)Prize/Arto Lindsay/’99
    8)First Love/宇多田ヒカル/’99
    9)逆上がりの国/湯川潮音/’04
    10)Lux/Brian Eno/’12
     
     並びは年代順。
    1)ジョアン・ジルベルトは手に入るなら『ジョアン・ジルベルトの伝説』が3枚分入っててお得。
    3)『すばらしきサンバの仲間たち』はまともな値段で買えるうちに買っといた方がいい。
    6)『Mercy』『Pcifica』『Dream Catcher』、一連の作品全部いい。
    7)聴けば聴くほど良いのでサブスクででも聴いてほしい。『Salt plus Two』もおすすめ。
    8)あとの作品ほど良くなる宇多田ヒカルだが、1枚選ぶとなると鮮烈だったこれを。
    10)病んでるときにお世話になった。

  • ケアフル・マダム

    ケアフル・マダム アート・リンゼイ13年ぶりの新譜が出た! 日本盤だと2700円だが、アマゾンmp3なら1850円、iTSなら1800円。俺はCDで買うた。
     これまでのアート・リンゼイのソロは静謐なトーンだったけど、今度のは前に出てきてる感じ。電子音が攻めてるし、例のギターが聴ける曲も。詳しい解説と試聴は日本盤のリンク先で。

  • ブラジル1000円

    ブラジル名盤・レア盤を¥1,000(+税) にて一挙限定リリース!
     80枚中20枚持ってた。ブラジル音楽好きな人には「20枚しか持ってないのかよ」と言われますな。まあでもこの20枚が1000円で買えてたなら……。
     
     その20枚中、ブラジル音楽に特に興味ない人にも勧められるやつを5枚ピックアップ。1000円なら買っといたほうがいいっすよ。買わないと損だよ。

    • Joao Gilberto: 三月の水
    • Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil ’66
    • Marcos Valle – Samba ’68
    • Clube Da Esquina: 街角クラブ 〜クルービ ダ エスキーナ
    • Joyce Moreno – Feminina

     
     個人的にはこの3枚も見逃せない。

    • Caetano Veloso / Gal Costa – Domingo
    • Doris Monteiro – Agora
    • Beth Carvalho – Andanca

     
     いわくつきの2枚。

    • Getz / Gilberto
    • Astrud Gilberto – Gilberto Golden Japanese Album

     1枚目はもっとも有名なアルバム。俺も最初にこれを買った。ただしブラジル音楽好きには評判がよろしくない。ボサノバといえばジャジーでアンニュイみたいなイメージが付いてしまった。いや、そうじゃないんだよと言いたくなる。
     2枚目はアストラッド・ジルベルトが日本語で歌ってる妙なもの。本家による歌謡ボッサみたいな。
     
     今回俺が買ったのは次の5枚。

    • Caetano Veloso – Joia +2
    • Caetano Veloso – Cores Nomes
    • Caetano Veloso – Livro
    • Ivan Lins – Somos Tudos Iguais Nesta Noite: 今宵楽しく
    • Toninho Horta

     名盤ですからハズレはなかったです。『Cores Nomes』は古臭い感じだけど。
     
    7月23日に第2弾がリリースされる
     こっちは3枚しか持ってないすね。

    • Caetano Veloso – Estrangeiro

     これはお勧めです。アート・リンゼイとピーター・シェラー、要するにアンビシャス・ラバーズによるプロデュースでよろしいデキです。
     
     買う予定なのは

    • Nara Leao – Lindoneia
    • Caetano Veloso – Circulado
    • Milton Nascimento – Minas
    • Edu Lobo – Cantiga De Longe
    • Gal Costa – India
    • Doris Monteiro
  • Encyclopedia of Arto

    Encyclopedia of Arto てんで新譜の出ないアート・リンゼイだが、ベスト盤が出た。半分は初出のライブ音源で、mp3が1500円なら買ってもいいんじゃないかと。
     試聴すればわかるようにソロになってからはメロディアスで、かつてのノー・ウェイブの影は薄いんだが、ライブになると流石というかキレてますな。これも弾き語りというんだろうか。いい感じ。
     
     ちなみに3年前にマーク・リボーらと共作で『Anarchist Republic of Bzzz』ってのは出てる。mp3はこちら
     さらにちなんどくと8トラにアート・リンゼイ関係の曲をまとめたので聴いてくだされ。こちら

  • イーノ

    LUX [解説付 / アマゾン限定特典ポストカード付 / 国内盤] (BRC356) 80年代にはよく聴いてたのに、その後さっぱり聴かなくなったイーノ。なんとなく目についた新譜(って言っても去年発売)を買ってみたら、ああ、イーノやね。こんなんやね、と思いつつ、塩梅がよかったので、昔聴いてたアンビエント1〜4と『The Pearl』をまとめ買いした。80年代のを改めて聴いてみると、いいんだけど新作に比べるとだいぶ落ちるね。30年も経つとやっぱ深まるよね。境地にも達するよね。そんなわけで、『Lux』いいですわ。

  • ジョジョリオンとか

    ジョジョリオン 1 (ジャンプコミックス) 荒木飛呂彦『ジョジョリオン』1巻
     ジョジョを読むようになったのはあとの方からで、最初からリアルタイムで読んでる人に対して引け目がある。「自分のジャンル」ではなく、横から覗かせてもらってるような。今回そんなこと気にせず引き込まれ、「うわーおもしろい!」と思いながら読んだ。

     ミュージックマガジン立ち読み。年間ベスト。ラテン部門ベスト5のうち3枚がブラジル。マリーザ・モンチ、セウ・ジョルジ、カルカニョット。
     マリーザ・モンチはクロスレビューでも取り上げられていた。デキはいいが新味がない的な評価で、点数もそれなり。ああ、やっぱりそうなのかと思った。確かに新譜聴いてる感が薄いのよ。新味が必要ない種類の音楽もあるが、マリーザ・モンチに安定されても困る。