ファヴェーラの丘

『ファヴェーラの丘』観た。NGOでありバンドでもあるアフロレゲエ(ポル語だとアフロヘギ)を追ったドキュメンタリー。“ファベーラ”は大雑把に言えばスラムのこと。ブラジルでは金持ちは平地に住み、貧乏人は丘に住む。
 この映画、アネムスティの後援で上映前にCMも入る。このCMがなんだかなあって内容で。そんで本編でファベーラの酷さについて語りだすんで、観に来たの失敗だったかなと思った。でもアフロレゲエが活動しだすと面白くなってくる。
 組織といえば麻薬密売組織しかないファベーラに、音楽を教える組織アフロレゲエを作って、ギャングになる以外のルートを子ども・若者に見せる。
 これって音楽で世界を変えるってことで。「世界」は大げさだけど、状況とか人生とか変える。セリフとしてはまああるけども、それは「いい話」のレベルであって、本当に変えた例はミンメイしか知らない。
 アフロレゲエは実際に変える。マンガでもこんな話はなかなかない。「ほんとかよ」って感じ。もとの状況がマンガみたいに酷すぎるからこそだろうけど。
 音楽始めるにあたって、パーカッション教えてくれる有志を募集する。その有志がスザーノ。凄いの来ちゃってる。
 ’00年に出たアフロレゲエのCDは当時買ったんだけど、アフロでもレゲエでもないヒップホップで、あんまり面白いと思わなかった。けど現地のライブ見ると影響力はわかる。こりゃ面白いだろうな。
 見てる子どももノリノリで踊る。
 音楽のレッスンでは、灯油缶みたいのを子どもがぼこぼこ叩くんだが、これがもう立派な音で。
 こういうの見ると貧乏な背景とは関係なく、なんか泣けてくる。日本の子どもはこんな風に踊らないし、パーカッション教えたって大人しく「教わる側」に入ると思うんだよね。でも、ここの子は楽しんでるというか、快感を味わってる。踊るってのも単にはしゃぐんじゃなく、制約のもとで動くんであって、その方が気持ちいいからそうするんで。うまいこと言えないけど音楽を楽しむ才能がにじんでるというか、原初的ななんかっつーか、うわーってなって泣けてくる。
 ドキュメンタリーだからダレ気味ではあるし、ドキュメンタリーとして若干怪しい作りでもあるんだけど、おもろかった。

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