ビーワン

 「目黒区の山田(仮名)と申しますが」と電話がかかってきた。税金かなんかの話かと思ったら、単なる不動産屋の勧誘だった。マンション買わんかと。立て続けにしゃべり続けるスキを見計らって「結構です」と言ったら、何も言わずにいきなり電話を切りやがった。
 「目黒区の山田」という切り出し方は工夫であるが、こういう工夫を工夫と思ってるとこにイライラする。
 山田にとって電話の先にいるのは、カモかハズレであって、人間じゃない。会社で山田がしなくてはいけないのは、より多くのカモを掴むことだ。そのために工夫はする。相手のことを考えても得をしない。
 けども山田は山田で、家に帰ればニュース番組を見ながら政府の怠慢や大企業の横暴に正義の怒りをぶつけてるかもしれない。これをダブルスタンダードと言う。普通こういうときにダブルスタンダードと言わないかもしれないが、俺は言う。
 メガネドラッグのテーブルの隅に、「客に損をさせない」みたいなことが書いてあった。客に対する売り文句じゃなく、店員の心得。客である俺は、テーブルの向こう側に上下逆さまに書いてあるのを見ていた。商売というのは、客に損をさせがちなんだろうなあと思った。
 
 真光元とビーワンとトリニティはセットらしい。美容院経由でビーワンが一番普及してるようだ。
 真光元は植物の粉で、それ以上ではなかったようだ。
 トリニティにはアパタイトと酸化チタンとシルクが入ってるようだ。シルクはなんだかわからないが、どのようにどのくらいかはともかく、トリニティにはなにかしらの効果がありそうだ。
 一番普及してるビーワンが一番わからない。ビーワンの元となるアクアーリオは、天然水を濾過しただけの、ただの水だという。ただの水が凄いってどういうことだ。小雪は「糖尿病で危険な状態の友達に、このお水を飲ませていたら本当に回復しましたし」とか言ってるようだ。芸能人、オカルトに弱いなあ。
 
 自由競争は世知辛いので、最低限、始めから相手に損をさせるつもりの商売ってのはナシってことにしないと、何か与えたから対価がもらえるって前提は守らないと、と思うんだが、この種の商売はなんだかよくわからん。大本はボロい商売だと思ってるだろうけど、売ってる側が効能を信じてる場合もある。国が厳しくするしかないのでは。あとメディアがアホすぎだと思う。広告料以前の問題で、もうちょっと普通に怪しいと思えよ。マイナスイオンとか遠赤とかもさ。

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